スペイン1部レアル・マドリードに所属する日本代表MF久保建英(19)が来季、ビリャレアルへ期限付き移籍することが10日、正式に決まった。同クラブが同日、発表した。契約は1年。昨季はマジョルカで高いパフォーマンスを継続。再度のレンタルが既定路線とされ、スペイン内外の複数クラブによる争奪戦となっていた。より力のあるクラブを新天地とし、着実なステップアップを遂げて将来はRマドリードのトップチーム入りを目指す。

期待の表れだった。新天地ビリャレアルの公式ツイッターは、正式発表前に日の出の写真を掲載し「日出ずる国」の日本からの助っ人加入をにおわせた。その後もスペイン語で「CUBO」の表記となるルービックキューブのイラストを載せて、久保獲得を示唆して、ムードを高めた。契約合意を発表したクラブの公式ホームページには「ボールのハンドリングが素晴らしく、敵を回避する並外れた能力は際立っており、ゲームの優れたビジョンを持っている若いミッドフィルダーです」と大きな期待感を持って紹介された。

相思相愛だ。欧州リーグ(EL)への出場権を持つビリャレアルは、チームの大黒柱だったMFカソルラの昨季限りでの退団が決まっている。久保にとってはステップアップの場として最適となる。ビリャレアルにとっても、新たな攻撃の核を探していただけに、右ウイングやトップ下などをこなせる19歳の存在は魅力だった。

久保は昨季スペイン1年目で4ゴール4アシスト。マジョルカは2部に降格したものの、厳しい試合が続く中で数字を残した。Aマドリードといった強豪相手にも引けを取らないプレーで力を示した。もう1年間の武者修行を望むRマドリードのもとにはオファーが殺到。セリエAのACミラン、フランス1部のパリ・サンジェルマンといったビッグクラブも動いた。

欧州CLに出場できるクラブも挙がった中で重要視されたのはスペイン1部でプレーが続けられることと、さらに出場時間を確保するために久保のプレースタイルとクラブの方針がフィットすること。久保自身も目標と語るRマドリードのトップチームという1つのゴールから逆算し、レベルアップできる道を選択した。

マジョルカ時代は試合を通して守勢に回る時間が多かった。プレスのかけ方や位置取りなど守備の精度を上げながら、少ない攻撃の機会を生かして評価を上げてきた。次はクラブのレベルが上がり、長所であるドリブルやトリッキーなパスで見せ場が増えることは間違いない。世界最高峰の選手がそろうRマドリードで必要とされる存在になるため、新たなシーズンでさらなる潜在能力を解き放つ。