若きライプチヒの快進撃が止まらない! アトレティコ・マドリードを2-1で破り、初の4強入りを決めた。22歳のFWダニ・オルモ、21歳MFタイラー・アダムズのゴールでスペインの名門を撃破した。2009年にオーストリアの飲料メーカー「レッドブル」が創設した新興クラブが、ドイツ5部相当のリーグから11年で欧州最高峰の舞台で躍進している。18日(日本時間19日)の準決勝ではパリ・サンジェルマンと対戦する。

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走るライプチヒが、真骨頂を発揮した。1-1で迎えた後半43分。中盤でボールを奪うと、速いパス交換から左サイドのDFタセンデの前方へ展開。前線2人がゴール前へ一気に走り、DFラインを押し下げる。タセンデは狙ったように空いたスペースへマイナスのクロス。受けたアダムズが右足でシュートを放つ。相手に当たって軌道の変わったボールがゴールネットを揺らし、決勝点となった。

また1つ階段を上った。就任1年目、33歳のナーゲルスマン監督は「とても誇りに思う」。出場選手の平均年齢は24・06歳。スター選手はいなくても、いきのいい若手が躍動する。先制点が22歳のオルモなら、21歳のセンターバックのウパメカノが相手エース、ディエゴコスタを封じ込めた。バイエルン・ミュンヘン以外のドイツ勢が4強に残るのは、12-13年のドルトムント以来となった。

創立100年以上の伝統クラブが幅を利かす中、異色の新興クラブだ。09年にレッドブルがドイツ5部のSSVマルクランシュタットを買収し、誕生した。12年夏にスポーツディレクターに戦術家のラングニック氏が就任し、強化を図った。豊富な運動量を基盤としたハイプレスに、ポゼッション隆盛の時代にあって「ボールを奪ったら8秒でゴールを奪う」独自の縦に速い戦術を持ち込んだ。同時に24歳以下の有望な若手への投資と育成に注力した。

15年には最先端のトレーニングセンターを建設するなど、レッドブルの資金力も背景に急成長を遂げ、5部からわずか7シーズンでブンデスリーガ1部へと昇格。さらに創立から11シーズンにして、欧州CLの4強入りを果たした。

準決勝はエムバペ、ネイマールらを擁するパリ・サンジェルマンが相手。青年指揮官は「次のラウンドに進めば、さらに先に進みたくなるのは自然なこと」。悲願のタイトル獲得へ、野心は燃えたぎっている。

<ライプチヒの歩み>

◆09年 オーストリアの飲料メーカー、レッドブルが当時5部リーグにいたSSVマルクランシュタットの運営権を取得し「RBライプチヒ」として創設。09-10年シーズンの同リーグで優勝し、4部のレギオナルリーガに昇格。

◆10-11年 4部4位。

◆11-12年 4部3位。

◆12-13年 ドイツ人指導者のラングニック氏をスポーツディレクター(SD)に迎え4部優勝、ブンデスリーガ3部に昇格。

◆13-14年 3部で2位となり、2部に昇格。

◆14-15年 2部5位。国内カップ戦で初の16強。

◆15-16年 ラングニック氏がスポーツディレクター(SD)兼任監督に就任。2部2位となり、創設7年で1部昇格を決める。

◆16-17年 元オーストリア代表のハーゼンヒュットル氏が監督に就任。1部昇格初年度ながらバイエルン・ミュンヘンに次ぐ2位と大躍進。初めて欧州CL出場権を獲得する。

◆17-18年 1部を6位で終える。初挑戦の欧州CLは1次リーグ敗退。

◆18-19年 再びラングニック氏がSD兼任監督に就任。1部で3位、国内カップ戦では準優勝。

◆19-20年 ドイツ人のナーゲルスマン氏が監督に就任。1部3位。2度目の出場となった欧州CLで初の4強進出。