最近の不祥事続きによりバルセロナ会員のクラブ首脳陣への不信感が高まり、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長と理事会メンバーの不信任投票実施が決定した。これを受けてスペイン紙マルカは10日に、バルトメウ氏がバルセロナ会長を辞任すべき10の理由を次のように挙げている。

(1)スポーツ面の成績がひどいこと。バルセロナは8月の欧州チャンピオズリーグ準々決勝バイエルン・ミュンヘン戦で2-8と惨敗したが、それ以前の3大会でもユベントス、ローマ、リバプール相手に敗北を喫しており、すでに大きな問題になっていた。

(2)スポーツディレクターを変更しても結果が出ていないこと。バルトメウ会長指揮下のスポーツディレクターは現在で5人目だが、その間に選手補強で巨額の投資を行うも、期待された成果を出せていなかった。

(3)メッシとの不和。今夏、バルトメウ会長に反発してクラブに退団の意思を正式に告げたが、契約上の問題により残留したメッシに対し、同会長は明らかに統制力を失っている。

(4)不信任の動きが大きかったこと。バルトメウ会長はこの件がこんなにも大きな問題となり、不信任投票に至ると予想できていなかった。

(5)解任される前に辞任するのがベストであるため。本人は辞任を希望していないものの、バルトメウがこのまま会長を続けた場合、バルセロナ史上初めて、クラブ会員によって解任される会長になることが濃厚となっている。

(6)クラブに平穏をもたらすため。今現在、バルセロナはデリケートな瞬間を過ごしているが、バルトメウが会長を辞めることにより落ち着きを取り戻せると推測されている。

(7)バルサゲート事件(クラブがSNSを監視する企業と契約を結び、バルトメウ会長の評判を上げた一方、メッシやピケら選手を含む利害関係にある人物を中傷したこと)がまだ決着していないため。バルセロナはこの件の調査をまだ受けている最中であり解決していない。

(8)クラブ役員が多数辞任したため。バルサゲート事件発覚後、副会長2人、クラブ役員4人が辞任したことで、クラブ理事会内部の分裂が明らかになっている。

(9)財政面がデリケートな状況にあるため。バルセロナは何年も前から莫大(ばくだい)な年間予算を誇りにしてきたが、給与総額の高さがクラブの財政面を厳しい状況に追い込んでいる。

(10)エスパイ・バルサ(カンプ・ノウの大改修や周辺地域を改築する大型再開発プロジェクト)が遅延しているため。これはクラブの歴史的遺産となるバルトメウ会長の旗艦プロジェクトだが、再開発にかかる予算の見積もりが当初の6億ユーロ(約750億円)から12億5000万ユーロ(約1562億5000万円)へと大幅に増加している。さらに、いまだにカンプ・ノウに1台もクレーン車の姿を見ることはできず、計画が大きく遅延している。

バルトメウ会長と理事会メンバーはこの後、クラブ会員による不信任投票により退陣するかどうか、決定することになる。

(高橋智行通信員)