日本代表MF久保建英(19)がヘタフェへ期限付き移籍すると8日に正式発表された。これを受け、スペイン紙アス電子版が同日、久保のポジションについて考察。ホセ・ボルダラス監督のシステムに当てはめるのが簡単でないと指摘した。

同紙は「ヘタフェのボルダラス監督は今冬の移籍市場で、右サイドを強化できるタレントを求めたが、そこは久保がプレーするために呼ばれたポジションのように思える。スピードや縦への突破力を備えた久保は、ヘタフェにとって不十分だった相手DFを破るために理想的な選手となる」と監督が求めた補強だったことを強調。一方で、今回の契約には一定の試合数出場が保証される条項が一切含まれていないと伝えた。

アス紙は久保の能力を認めながらも、試合に出るための問題点があることを指摘。「最近、ヘタフェのサイドで見られているものと久保が合っていない」と記し、ボルダラス監督が両サイドにフィジカル面にたけた選手を配置していることを挙げている。

ボルダラス監督の4-4-2のシステムで、右サイドバックはダミアン・スアレス、右サイドハーフは右サイドバックからコンバートされたアラン・ニョム。左サイドバックはマティアス・オリベラ、左サイドハーフはマルク・ククレジャがレギュラーを務めているが、全員が高いクオリティーと強靱(きょうじん)なフィジカルを備えている。

そのため同紙は「もし久保がサイドの選手として、ボルダラスのフィジカルと仕事面の要求に適応できない場合、他のオプションが開かれる」と伝え、「最も明確なのは、久保のインサイドでのクオリティーの高さを生かし、セカンドトップでプレーすることだ」と分析している。

しかしそれは「ボルダラスが過去3シーズン、ほぼ唯一無二のものとして採用してきた4-4-2を放棄することを意味する」と、異なるシステムに変える必要があることを指摘しつつ「FWの2選手(クチョ・エルナンデス、エネス・ウナル)が負傷中のため、今後数試合、そのオプションを容易に採用することができる」と、同監督が久保を起用しての新システムをテストできる可能性があると推測した。

さらにヘタフェには久保同様、今冬の移籍市場でバルセロナから期限付き移籍で獲得したカルレス・アレニャというオプションもある。「もし2選手が期待通りにスタメン入りできる場合、ボルダラスはシステム変更を余儀なくされる」と別の可能性があることも伝えている。

その場合、アレニャ、ネマニャ・マクシモビッチ、マウロ・アランバリがトリプルボランチを形成し、久保が右ウイング、ククレジャが左ウイングに入り、FW1選手を中央に配置する4-3-3が、獲得したばかりの久保とアレニャを完全に当てはめるのに最適なシステムだと分析している。

また、久保とアレニャのヘタフェデビューの時期について同紙は、「エルチェ戦で両選手にデビューする可能性がある」としながらも、「少なくとも、ホームで行われるウエスカ戦まで1週間待つ必要があるだろう」とエルチェ戦でのデビューが時期尚早だと見ている。そしてウエスカ戦は新入団の2選手、特に久保に対するボルダラスの意図を詳しく知るための試合になるとも推測している。

ヘタフェはこの後、10日にアウェーで行われるスペインリーグ第18節でエルチェと、20日にホームで開催される第19節で岡崎慎司が所属するウエスカと対戦する。このどちらが久保にとってヘタフェデビューを飾る試合になるだろう。(高橋智行通信員)