新型コロナウイルスの影響を大きく受けた今夏のスペイン移籍市場が、現時点では低調に推移しているとスペイン紙アスが20日に報じた。

19日までにスペインリーグのクラブが獲得した選手60人のうち、移籍金が支払われたケースはわずか21人にとどまっているという。

21人の移籍金総額は1億1150万ユーロ(約145億円)。これは19年夏にレアル・マドリードがベルギー代表FWエデン・アザール、バルセロナがフランス代表FWアントワーヌ・グリーズマン、アトレチコ・マドリードがポルトガル代表FWジョアン・フェリックスを獲得した際、各クラブがそれぞれたった1人のために支払った金額とほぼ同額。いかに今夏、大きな動きがないかということを示している。

一方、移籍金が発生しなかった39人の内訳は、前クラブと契約満了ののちに移籍金ゼロで獲得した選手が30人、期限付き移籍での加入が9人となっている。

そんな中で、最も大きな動きを見せたのは昨季王者Aマドリード。ウディネーゼからアルゼンチン代表MFロドリゴ・デパウルを獲得。現時点で今夏のスペインでの移籍金最高額となる3500万ユーロ(約45億5000万円)を支払った。またフルミネンセからマルコス・パウロを無料で手に入れた。

セルヒオラモスを契約満了で放出したRマドリードはここまで、バイエルン・ミュンヘンとの契約が満了したオーストリア代表DFダビド・アラバを獲得したのみ。現在、パリ・サンジェルマンのフランス代表FWキリアン・エムバペに狙いを絞っているが、非常に難しい状況だと推測されている。

バルセロナはアルゼンチン代表FWセルヒオ・アグエロ、オランダ代表FWメンフィス・デパイ、スペイン代表DFエリク・ガルシアを移籍金ゼロで手に入れ、ブラジル代表DFエメルソン獲得に移籍金900万ユーロ(約11億7000万円)を支払った。

19年夏、スペインリーグは選手獲得に費やされた金額で、過去最多となる13億100万ユーロ(約1691億3000万円)を記録した。しかし昨夏、新型コロナウイルスの影響により3分の1以下の3億8900万ユーロ(約505億7000万円)に落ち込み、今夏も1億1150万ユーロ(約144億9500万円)とさらに金額は減少している。移籍市場は8月31日までとなっている。(高橋智行通信員)