サンジロワーズMF三笘薫(24)が、ホームのセラン戦でリーグ戦初ゴールを含むハットトリックの大活躍を見せた。前半だけで2点をリードされ、しかも退場者を出すというピンチに、後半開始から途中出場。得意のドリブルと得点力を武器に逆転勝利の立役者となり、ファン選出のマン・オブ・ザ・マッチにも輝いた。

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3点を奪うのに45分間だけで十分だった。三笘は2点をリードされた後半10分に左45度の角度でパスを受け、右足でファーサイドに流し込んでリーグ戦初ゴール。2-2の同31分にはスルーパスに走り込んで2点目をマークした。持ち味が最も分かりやすく出たのが終了間際の3点目だった。

カウンターからハーフウエーラインを越えたあたりでパスを受け、得意のドリブルを開始。左サイドから斜めにペナルティーエリア右に切れ込み、倒れながら右足でシュートを決めた。

会心の逆転勝利に、スタンドのファンも大興奮。試合後もチャントが鳴りやまず、三笘もピョンピョン跳ねながら声援に応えた。ベルギーリーグ公式サイトでは88%という高い得票率でファン選出のマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。

ここまでリーグ戦5試合でスタメンはゼロ。マズ監督によるとベルギーのサッカーや言葉などに慣れるための適応期間だったという。ゲンク時代に伊東純也も指導した同監督は「三笘は素晴らしい選手。チームの力になれるということを見せてくれた。(伊東も含め)彼ら日本人は文句も言わず、いつも前向きなのがいい。三笘もプレーしていない時も不満を漏らさず、ポジティブだ」と評価した。

当然、今後はスタメン出場も増える見通し。三笘がベルギーでゴールを重ねれば所属元のプレミアリーグ・ブライトンが喜ぶだけでなく、苦しい戦いが続く日本代表にとっても朗報となるに違いない。

◆欧州主要国1部リーグでの日本人ハットトリック 中村俊輔が06、09年とセルティック(スコットランド)で2度記録。06年にはEフランクフルト(ドイツ)高原直泰も成し遂げた。13年にマンチェスターU(イングランド)香川真司、15年にマインツ(ドイツ)武藤嘉紀、17年にザルツブルク(オーストリア)南野拓実、18年にオイペン(ベルギー)豊川雄太、20年にパルチザン(セルビア)浅野拓磨、今年はセルティックで古橋亨梧が記録している。