【サンセバスチャン(スペイン)20日=高橋智行通信員】レアル・ソシエダードの日本代表MF久保建英(22)がCLデビューを果たした。チームの開幕戦となったホームのインテル・ミラノ(イタリア)戦に右ウイングで先発。得点には絡まなかったものの、随所に見せ場を作った。チームは1-1で引き分けた。

   ◇   ◇   ◇

昨季準優勝のインテル・ミラノから最も警戒されたのは久保だった。定位置の右サイドに陣取ると、パスが入るたびに相手2人から徹底マークが入る。司令塔のMFブライス・メンデスをフリーにしてでもつぶしにきた。

久保は冷静だった。相手を引き寄せ、味方にパスをつなぎ、好機も演出した。前半41分には、利き足でない右足で絶妙なクロス。前半45分には左からペナルティーエリア内に進入し左足でシュートを放った。後半も3分、24分と左CKで高精度のボールを供給し、相手ゴールを脅かした。17日のRマドリード戦から中2日の強行軍で、後半27分に交代した。ピッチを去る際にはスタンディングオベーションが起きた。

地元紙ノティシアス・デ・ギプスコアは久保について、「美しいクロスを上げ、あと1歩で決定的な存在になるところだったが、シュートはわずかに枠上を越えていった。ハーフタイム後は消耗して交代した」と10点満点中6点の評価。得点には絡めなかったものの、及第点を与えた。

昨季のスペインリーグ第37節アトレチコ・マドリード戦。試合に負けたにも関わらず、笑う久保がいた。5位ビリャレアルが敗れ、チームは最終節を残して4位の座を確保。念願の欧州CL出場権を獲得した。「すごくうれしかった。チャンピオンズリーグを決められたことが全て」。昨季最大のミッションを完遂したことを喜んだ。

チームは前半4分にメンデスが相手からボールを奪ってそのままゴール。今季公式戦の全4試合で1度も先制を許していなかった強敵からリードを奪った。久保が退いた後の後半42分に失点。ホームで白星発進とはならなかったが、格上を相手に主導権を握る時間は長かった。攻撃の起点としてもキッカーとしても気を吐いた久保。自身初のCLで確かな爪痕を残した。