<欧州CL:ビジャレアル1-0セルティック>◇9月30日(日本時間1日)◇1次リーグE組第2戦◇スペイン・ビジャレアル

 【ビジャレアル(スペイン)=山本孔一通信員】セルティックMF中村俊輔(30)がお株を奪われた。現在スペインリーグ2位の強豪ビジャレアルと対戦。トップ下で攻守に奔走したが、得意の直接FKを蹴る機会もなく、得点には絡めず。逆にビジャレアルのスペイン代表MFセナの見事なFK弾に泣き、0-1で敗れた。初戦ホームでオールボーに引き分けており、2戦終えて勝ち点1。3年連続の1次リーグ突破が厳しくなってきた。

 糸引く弾道を、ぼうぜんと見送るしかなかった。後半22分、ゴール正面左寄りからの相手直接FK。中村は壁から少し離れた位置で、スペイン代表MFセナの離れ業を見せつけられた。シュートは壁の中央、チーム最長身FWサマラスの頭すれすれを通った後、ドライブ回転で急降下。試合を決める一撃に、思わず天を仰いだ。

 トップ下の位置で描いた、勝ち点へのシナリオが崩れた。「前半は狙い通り。むしろこっちの決定機で点が入っていれば…」。いつもの華麗なパスや、強烈な左足シュートはなかった。だが「個人の出来に注目するとそうだけど、今日はチームで最初に守備をするのが役目だった」と予定通りのプレーだと強調した。

 8人でブロックをつくって守る味方の前方で、相手のパス交換を必死に追いかけ回した。「振られ役だから。後半途中で交代したけど、チームのためにそういう動きをしたから、悔いはない」。後半29分の交代までの走行距離は、10・3キロに達した。味方の平均よりも2・5キロも多い運動量で、相手のパスを寸断。最低でもドロー、あわよくば最少得点差での勝利を狙う作戦だった。

 しかし結果は敗戦。中村加入後のセルティックは、欧州CL本戦アウェーで9戦9敗となった。中村は「あのFKがなければ引き分けだった」と悔やむ。セナの一撃は、かつてジーコらもよく蹴った「落ち葉」と呼ばれる急速落下FK。名手中村も完全にお株を奪われた。「しょうがない。下を向く必要はない。あきらめない」。一般的に1次リーグ突破に必要とされる勝ち点は10。残り4試合で3勝が必要な厳しい状況に追い込まれたのは確かだ。