ボーフムMF小野伸二(29)が、背水の決意を胸に新シーズンに臨む。チームの始動に向けて26日、成田空港からドイツに向けて出発した。出発前に日刊スポーツのインタビューに応じ、約2年半契約の最終年に向け、チームの中心選手として優勝争いに加わりたいとの思いを明かした。

 小野が熱い気持ちを胸に秘めて出発した。4月18日のドルトムント戦で内側靱帯(じんたい)を断裂した右ひざも回復し、今月中旬からグアムで個人合宿を敢行。真っ黒に日焼けした表情には輝きが戻っていた。

 小野

 ボールを使わない練習ばかりしていたけど、感覚は戻っている。チームの始動日から一緒に練習しますよ。右足で蹴っているし、8月のリーグ開幕に合わせればいい。ボーフムとは契約最後の年、大事なシーズンだと思っている。

 08-09年シーズンは8試合出場(339分)のみ。前半戦は戦術的理由で先発落ちし、後半戦は先発定着した直後に右ひざに重傷を負った。過去2シーズンは不本意な成績だった。

 小野

 最初(の先発落ち)はチーム状況もあると思うけど「なぜベンチ?」とは思っていた。今度は何度かチャンスがきたと思ったら自分が腰痛になったり、ひざを故障して大変な段階を踏んでいた。ただ、それなりに収穫もあった。

 7カ月ぶりに先発した4月11日のホッフェンハイム戦ではトップ下に入り、1点目をアシストするなど攻撃を支え、3-0で快勝。数少ない出場機会で存在感を示してきた。

 小野

 ホッフェンハイム戦の勝ち点3は自分の中で大事な勝ち点だった。自分の出来は良くなかったけど、チームが良い感じでやりがいがあった。ボーフムで3シーズン目。中心選手という自覚を持たないといけない。開幕から勝ち点を積み重ねるようなサッカーをしたいし、そういうチームづくりをしたい。過去2シーズンは降格争いだったし、上位にいきたい。

 浦和の後輩となるボルフスブルク長谷部のリーグ制覇には刺激を受けている。

 小野

 日本でリハビリしていたけど、一度、最終節(5月23日)に選手全員で食事することになってドイツに戻った。その時、テレビで長谷部が優勝したのを見て感動を味わった。ボクもUEFA杯で優勝しているけどリーグは雰囲気が違う。あのチームで先発で出るのは大変なことだし。来季はライバル同士。そう見られているかは分からないけど頑張る。

 もちろん、中村のエスパニョール移籍も同じだ。

 小野

 ここで日本に戻るのはもったいないと思っていた。スペインでやるのは日本人にとって特別。絶対に活躍するはず。すごく環境良いクラブみたいだし、遊びに行けそう。ボクも招待してもらいます(笑い)。

 昨年8月のウルグアイ戦では06年ドイツW杯以来、約2年ぶりの代表復帰を果たした。「呼んでもらえてありがたかった。自分の中で緊張感があった」という岡田ジャパンでのW杯出場も頭にある。

 小野

 代表戦は見てます。(W杯出場を決めた)ウズベキスタン戦は危ない試合だったけど勝って良かったと思う。今の自分は代表を考えるまでに至っていない。チームで出ないと。出場しないと代表の道はない。ただしっかりやれば結果はついてくる。ボーフムで、一からやっていきたいと思う。

 [2009年6月27日7時56分

 紙面から]ソーシャルブックマーク