【ペララダ(スペイン)7月31日=塩畑大輔、山本孔一通信員】エスパニョールMF中村俊輔(31)が、16日間のペララダ合宿の全日程を終了した。セルティックでの4年間は不可能だった、クラブのプレシーズン合宿フル帯同を果たし、精力的な走り込みで1年を戦い切る体力を培った。最終日はポチェッティーノ監督の指示で、別メニュー調整。フィジカル徹底強化の期間を終え、2日の親善試合リバプール戦に向けて、調整モードに切り替えた。

 万全の調整を続けてきた「新人」に、合宿最終日の練習は必要なかった。7月31日の午前練習。中村は合宿最後のメニューとなったミニゲームを、ピッチ外に座って静かに見守った。ポチェッティーノ監督から、別メニュー調整の指示を受けたのだ。「疲れているのかと聞かれたから(合宿終盤だから)そんなのは当たり前だと答えた」と指揮官とのやりとりを明かした。

 たまった疲れの分だけ、手応えを得た。16日間で通算30時間近い走り込みをこなした。「体を一からつくる作業を久々にできた」。05年8月のセルティック加入時には、チームはすでに欧州CLの予備戦に参戦中。その前後も日本代表の活動などの影響で、毎年合宿には参加できなかった。チーム合宿への参加は、レジーナ時代の03年夏以来、実に6年ぶりだった。

 今回は始動からここまでチームにフル帯同した。「医療体制のレベルが高い。はり治療ができる人もいるし、トレーナーのマッサージも強めで自分にあっていた」と話すように、思い通りに体のケアもできた。離脱者が続出する中、負傷もせず終始ハードな走り込みに精力的に参加した。

 さらに「新しい環境に適応する上で、長い間チームメートと一緒に過ごせたことは、とてもよかった」という。長期間1つ屋根の下で暮らし、周囲と一気に打ち解けた。今ではFWタムード、MFイバン・アロンソら主力選手たちから、さかんにちょっかいを出されるまでに親しくなった。

 充実した合宿を終え、調整は次の段階に進む。ポチェッティーノ監督からは「2日の親善試合リバプール戦も大事。ここからは試合を意識してコンディションを上げてほしい」と要請された。この日の別メニュー調整の指示もその一環だった。「ここからは自分に違う負荷をかける。戦術や周囲との連係など、サッカーの部分に集中することになる」と話していた。

 [2009年8月1日9時6分

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