<スペインリーグ:バルセロナ4-0バリャドリード>◇16日(日本時間17日)◇バルセロナ

 【バルセロナ(スペイン)=山本孔一通信員】マラドーナ超えは、W杯で証明する!!

 バルセロナがホームの最終節でバリャドリードに大勝し、2季連続20度目の優勝を果たした。アルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(22)が2得点1アシストし、96-97年のロナウドに並ぶクラブタイ記録の34ゴールを記録。プレミアリーグのチェルシーFWドログバに10ポイント差をつけ、欧州リーグ得点王(ゴールデンシュー)も獲得した。「もはやマラドーナを超えた」という声が高まる中、次はW杯優勝で「史上最高」を実証する。

 メッシが「10人の守備網」を破った。1点リードの前半31分。ハーフウエーライン付近、右タッチライン際。巧みなパス交換から3人を翻弄(ほんろう)すると、襲いかかる相手を次々と突破した。さらにMFヤヤ・トゥーレとのワンツーでゴールへ迫ると、最後はDFを引きつけ、右前を走るFWペドロへスルーパス。チーム2点目が生まれた。この時バリャドリードはFW1人を残し、10人が自陣で守ったが、まったく無力だった。

 こうなると、メッシの動きに拍車がかかった。後半17分にヤヤ・トゥーレの突破からチーム3点目を奪うと、31分にも再びヤヤ・トゥーレのパスからDF2人を抜き去り、ダメ押しの4点目。サポーターの「カンペオン(王者)!」コールを背に、満面の笑み。メッシによる、メッシのためのシーズンが、幕を閉じた。

 今季リーグで34得点。96-97年のロナウドに並ぶクラブ最多得点だが、当時は2チーム多かったため、実質的には「新記録」だ。同時にチェルシーのドログバに大差でゴールデンシューも獲得。公式戦の総得点は47(欧州CL8、スペインスーパー杯、クラブW杯各2、スペイン国王杯1含む)を数えるなど、アーセナルのベンゲル監督が「プレステの選手」と例えた通り、今季の活躍は異次元のものだった。

 メッシに引っ張られ、チームはリーグ史上最多の勝ち点99を達成。グアルディオラ監督から「間違いなく過去最高の選手」とたたえられれば、記録的な1年を締めくくったメッシは「特別な言葉は準備していない。ただ、みんなに感謝している。ビスカ(万歳)、バルサ。最高だ」と喜んだ。

 欧州シーズンが終わり、次はマラドーナを擁した86年以来、24年ぶりのW杯優勝に期待がかかる。欧州で「マラドーナを超えた」という声が高まる一方、代表では連係のまずさから孤立する場面が目立つ。W杯予選も18試合で4点。そんな過去と決別するかのように、メッシは「アルゼンチン、もうちょっと辛抱して」と笑った。大会前年のバロンドール(世界最優秀選手)受賞者は優勝できない-。世界の目が注がれる中、神の子は、ジンクス突破とともに「マラドーナ超え」に挑む。

 [2010年5月18日9時30分

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