<欧州CL:Rマドリード4-1CSKAモスクワ>◇決勝トーナメント1回戦◇14日◇マドリード

 【マドリード(スペイン)15日=八反誠、山本孔一通信員】CSKAモスクワMF本田圭佑(25)が、苦渋の決断を下した。14日(日本時間15日未明)の欧州チャンピオンズリーグ(CL)、Rマドリード戦を欠場しスタンド観戦。左太もも打撲を抱えながら強行出場の可能性を探ったが痛みが消えず、試合当日に自らスルツキ監督に申し入れベンチ外となった。本田を欠いたCSKAは大敗し2戦合計2-5で敗退した。

 本田は自ら欠場を申し入れていた。試合終了から約1時間半。モスクワに戻るためチームとともにバラハス空港に到着すると、意を決したように口を開いた。

 「試合に自分が出る時というのは、ホンマに心から(チームの)勝利のことだけを望んでいる時。今プレーしても、今日この痛みでプレーしても、ただの思い出作りになるだけ」

 原因は3日ゼニト戦で負った左太ももの打撲だった。12日の敵地入り後も連日病院で検査と治療。懸命の処置で強行出場の道を探ったが、内出血を伴う痛みは消えなかった。スルツキ監督からは「当日に返答をくれ」と言われていた。ギリギリまで粘ったが、ピッチ上でチームに迷惑はかけられない。答えは「NO」だった。

 苦渋の決断だったことは明らかだ。空港では自らを納得させるように、長い沈黙を挟んで言葉をつないだ。強気で鳴らすいつもの本田節とは違った。等身大の25歳のサッカー選手の心の叫び-。その目は赤く充血しているように見えた。試合前には「出るなら、もちろん契約を取るくらいの気持ちでやる」と勢い良く話していた。特別な思いを抱くレアル相手にその本拠地でプレー機会を逃した。悔しさ、情けなさ…。胸の奥からわき出る思いは、一体何だったのか。

 足のケガが続き、もう半年以上もまともにプレーできていない。今回もエゴをむき出しにし「出る」と言えばピッチには立てた。ケガで思考が守りに入っていると見る向きもある。だが、本田は死んでいない。最後にこう言い放った。

 「すごいポジティブに考えている。将来の自分のチームを拝見できたし」

 再び、レアル入りを“予告”してマドリードを後にした。