[ 2014年2月22日9時39分

 紙面から ]女子フリーで演技を終えた金妍児(撮影・PNP)<ソチ五輪:フィギュアスケート>◇20日◇女子フリー

 10年バンクーバー五輪女王の金妍児(23=韓国)が、涙した。SP1位で迎えたフリー。すべてのジャンプを成功させてほぼ完璧な演技を披露したが、ソトニコワに5・48点届かずに銀メダル。現役最後の試合で、五輪連覇を逃した。

 あの金が、泣いていた。テレビインタビューで永遠のライバル浅田真央(23=中京大)への言葉を求められ「長い間、お疲れさまと言いたい…」と言葉につまった。両目から涙をあふれさせ、足早に取材エリアを通り過ぎた。流れるマスカラをちり紙でふきながら。そしてひと目につかない控室前で関係者に肩を抱かれて泣き崩れた。「私も人間ですから」と繰り返した23歳の姿があった。

 メダリスト会見では冷静さを取り戻し「スコアはジャッジが決めること。私はコメントする立場にない。最も重要なことは最後の競技会でここ(2位)にいられること」と大人の対応。

 「バンクーバーの時は金メダルに命をかけてもいいと思った。今回はモチベーションの維持が最も大変だった。結果はよかった。なぜならミスしていないから。競技会が終わって、ほっとしている」。最後の演技を終えて、柔らかい笑顔を見せた。【益田一弘】