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涌井が慣れた手つきでコントローラーを操作し始めた。「キャッチャーウインドウって、使えますよね」。スタッフに問い掛けながら、画面上部の真ん中に、バックスクリーン側からのカメラで捕手がミットを構えるシーンを出した。「携帯電話と同じでゲームは生活の一部」と言い切るだけのことはある。「パワプロ(実況パワフルプロ野球の略)は、98年開幕版とか好きでした」。幼稚園児のころから家庭用のゲームに親しんでいたというゲーマーは、対戦相手に全パ打線を選んだ。1番西岡(ロッテ)以下、1球たりとも気が抜けない打者がそろっている。
初回は西岡三ゴロ、片岡(西武)投飛、リック(楽天)捕ゴロと簡単に打ち取った。2回裏、4番松中(ソフトバンク)への3球目、投げた瞬間思わず「あっ ! 」と叫んだ。内角ベルト付近の甘い直球だったが、パを代表する左の大砲は打ち損じて二ゴロ。「あれは失投ですよ」。ホッとした表情に変わった。
ソフトバンク打線にはいやらしい印象を持っている。7月4日と同18日の福岡ヤフードームでは、大村、川崎、柴原、松中と1番から4番まで左打者を並べられた。足があるうるさい3人のうち1人でも出せば、4番松中が待ち受ける。松中にはシーズン中、2本の本塁打を許しており、思わずヒヤッとしたのもうなずける。
小笠原(日本ハム=当時)のフルスイングにも負けなかった。外角低めの直球で、当てただけの遊ゴロに打ち取った。「小笠原さんは一発を警戒すればいい。日本ハムでは田中賢さんがいやらしい感じですね」。シーズン中に対戦した選手の印象をポツポツと話した。

実際、配球は捕手に任せるタイプだが、ゲームでは違う攻め方もした。「外角低め優先の投球で追い込みます。ゲームでは初球から打ってきますから」。あっという間に傾向をつかむと、3回を見事パーフェクトに抑えた。
キャンプの自由時間や遠征の移動中には携帯ゲームは欠かせないという。その時ばかりはどこにでもいる20歳の若者だ。今シーズン開幕2戦目を任され、以降ローテーションを守り続けた若きエースは、来シーズンのリーグ制覇を心に誓った。もちろんオフタイムの「パワプロ」での勝利が、マウンド上での原動力になるのは言うまでもない。
| (位置) | 氏 名 | (所属) | 1 | 2 | 3 |
| (遊) | 西 岡 | (ロッテ) | 三ゴ | …… | …… |
| (二) | 片 岡 | (西武) | 投飛 | …… | …… |
| (右) | リック | (楽天) | 捕ゴ | …… | …… |
| (左) | 松 中 | (ソフトバンク) | …… | 二ゴ | …… |
| (指) | セギノール | (日本ハム) | …… | 遊ゴ | …… |
| (一) | 小笠原 | (日本ハム) | …… | 遊ゴ | …… |
| (三) | フェルナンデス | (楽天) | …… | …… | 遊ゴ |
| (中) | 新 庄 | (日本ハム) | …… | …… | 遊ゴ |
| (捕) | 里 崎 | (ロッテ) | …… | …… | 三振 |

涌井が高校の偉大な先輩でもある松坂にゲーム上でなって、今年の日本シリーズを制した日本ハムと対決した。限定3回だったが、安定感あふれる投球を見せた。
1回裏、先頭打者の森本からいきなりエンジン全開だ。145キロを超える速球と高速スライダー、カーブ、サークルチェンジと持ち球を駆使してファイターズ打線を封じる。2回裏には先頭の4番セギノールを155キロの剛速球で一飛と詰まらせた。2死から新庄に中前に打たれたのはご愛嬌(あいきょう)だったが、許した走者はこの1人だけ。「新庄さんは引退する人だから、松坂さんも花を持たせてあげたっていいでしょう」と後輩は笑った。
圧巻は3回。8番高橋信、9番金子、1番森本と3者連続三振に切って取った。高橋は外角低めのサークルチェンジを見送らせた。金子と森本には内角低めの150キロ台の速球をウイニングショットにした。今年9月13日、札幌ドームで5安打完封し16勝目を挙げたときのような豪腕を再現してくれた。
松坂は今年、日本ハムを相手に負けなしの4戦4勝。新人の99年から今年まで38試合に登板して23勝9敗と得意にしていた。その大先輩は来年からチームを抜ける。「僕がしっかり働いてカバーしますよ」と健闘を誓っていた。

| 年度 | 試合 | 勝 | 敗 |
| 99 | 4 | 3 | 1 |
| 00 | 6 | 2 | 1 |
| 01 | 9 | 5 | 3 |
| 02 | 2 | 2 | 0 |
| 03 | 5 | 3 | 1 |
| 04 | 3 | 0 | 2 |
| 05 | 5 | 4 | 1 |
| 06 | 4 | 4 | 0 |
| 計 | 38 | 23 | 9 |


◆ 涌井秀章 (わくい・ひであき) 1986年(昭和61年)6月21日生まれ。千葉県出身。横浜高卒。投手。
04年ドラフト1位で西武ライオンズに入団。05年3月29日、日本ハム戦(札幌ドーム)でデビュー。05年は13試合1勝6敗、防御率7・32だったが、今年は26試合12勝8敗、防御率3・24とローテーションの一角を占めた。
185センチ、85キロ。右投げ右打ち。

| 順位 | 球団 | 試合 | 勝数 | 敗数 | 引分 | 勝率 | 今季の戦いぶり |
| 1 | 中日 | 146 | 87 | 54 | 5 | .617 | 昨年苦戦した交流戦に勝ち越し。本拠地で47勝挙げ優勝 |
| 2 | 阪神 | 146 | 84 | 58 | 4 | .592 | 中日戦に7勝14敗1分け。終盤猛烈な追い上げも届かず |
| 3 | ヤクルト | 146 | 70 | 73 | 3 | .490 | 石井弘の故障で抑えに苦労。古田兼任監督は出場36試合 |
| 4 | 巨人 | 146 | 65 | 79 | 2 | .451 | 主力に故障者が続出。最低打率で球団初の連続Bクラス |
| 5 | 広島 | 146 | 62 | 79 | 5 | .440 | 梵が新人王獲得も投手陣は黒田頼み。若手投手伸び悩む |
| 6 | 横浜 | 146 | 58 | 84 | 4 | .408 | 門倉の10勝がチーム最多。先発崩壊でリーグ最低防御率 |
| 順位 | 球団 | 試合 | 勝数 | 敗数 | 引分 | 勝率 | 今季の戦いぶり |
| 1 | 日本ハム | 136 | 82 | 54 | 0 | .603 | マイケル、武田久ら強力リリーフ陣で44年ぶりの日本一 |
| 2 | 西武 | 136 | 80 | 54 | 2 | .597 | プレーオフ第1ステージ敗退も、25年連続Aクラス入り |
| 3 | ソフトバンク | 136 | 75 | 56 | 5 | .573 | 王監督が途中休養。本塁打も昨年から90本減り打線弱化 |
| 4 | ロッテ | 136 | 65 | 70 | 1 | .481 | 2年連続交流戦優勝も後半戦失速。WBC組の不振響く |
| 5 | オリックス | 136 | 52 | 81 | 3 | .391 | 清原、中村、セラフィニら積極的な補強も故障で苦しむ |
| 6 | 楽天 | 136 | 47 | 85 | 4 | .356 | 3割打者4人も大砲不在で最少得点。2年連続の最下位 |

(C)2006 Konami Digital Entertainment Co., Ltd.
(社)日本野球機構承認
NPB BIS プロ野球公式記録使用
フランチャイズ13球場公認
(社)全国野球振興会公認
ゲーム内に再現された球場内看板は、原則として2006年プロ野球ペナントシーズン中のデータを基に制作しています。