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特別連載 THE OTHER SIDE




松坂大輔 「夢という言葉は好きじゃない。メジャーは僕の目標」

レッドソックス入団会見でユニホームを手にする松坂=06年12月14日(撮影・小沢裕)レッドソックス入団会見でユニホームを手にする松坂=06年12月14日(撮影・小沢裕)

 07年のスポーツ界の主役は間違いなく松坂大輔投手(26)になるだろう。今オフ、ポスティングシステム(入札制度)で西武からレッドソックスへ移籍。入札金額は史上最高の60億円にのぼり、契約金、年俸を合わせ100億円以上の大金がたった1人の選手のために動いた。大リーグの長い歴史の中でも過去に例のない規格外のルーキーには、日本のみならず全米の野球ファンが注目している。

 そのプレッシャーは、同様に日本球界の看板を背負って海を渡ったイチロー(マリナーズ)や松井(ヤンキース)とは比べものにならない。多少の失敗が許される通常の新人選手とは違う。最低でも15勝、年間最優秀投手に贈られるサイ・ヤング賞を争うぐらいの結果を残さなければ、ファンは納得してくれない。「プレッシャーは当然あります」。メジャー経験のないルーキーにしては高すぎる評価の意味を、自身が一番よく分かっている。

レッドソックス入団会見を前にフェンウェイパークのマウンドでボールを投げる松坂=06年12月14日(撮影・小沢裕)レッドソックス入団会見を前にフェンウェイパークのマウンドでボールを投げる松坂=06年12月14日(撮影・小沢裕)

 しかし、松坂がこうした重圧に押しつぶされることはないだろう。「怪物」と呼ばれた横浜高時代から、常に高い理想を持ち、世界最高の舞台をイメージして投げてきた。完封勝利を挙げても、1試合で15個の三振を奪っても、自分に対し100点満点の評価を与えることなく「現状には満足したくない。さらに上を目指す気持ちは忘れたくない」と繰り返した。自信がなければ、メジャー挑戦を口にするようなタイプではない。

 松坂の武器は、150キロを超える直球や、メジャー関係者の間で魔球「ジャイロボール」と恐れられている高速スライダーだけではない。「小学生の時からアメリカでのプレーすることを意識してきた。夢という言葉は好きじゃない。メジャーは僕の目標なんです」。野球を始めたころから揺らいだことのない強い気持ちが、メジャーでの成功を後押しするはずだ。【広瀬雷太】

広瀬 雷太ひろせ・らいた
 98年入社。東北支社勤務などを経て00年から野球部に所属。プロ野球の巨人、西武を担当したほか、03年から3年間は大リーグを取材した。東京都出身、33歳。

※本連載は毎週木曜日更新予定です



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