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特別連載 THE OTHER SIDE




王貞治 回復のバロメーターめん完食

ジャンパーを脱ぎ、211日ぶりにユニホーム姿を披露したソフトバンク王監督=07年2月1日(撮影・藤尾明華)ジャンパーを脱ぎ、211日ぶりにユニホーム姿を披露したソフトバンク王監督=07年2月1日(撮影・藤尾明華)

 王さんが食べた。宮崎春季キャンプ初休日となった2月5日。ソフトバンク王貞治監督(66)は、故恭子夫人の出身地である宮崎市青島へ恒例の墓参りのため、片道約1時間半のドライブに出掛けた。選手宿舎への帰路、ふらりと立ち寄ったのは釜揚げうどん店だった。「重乃井」というその店は、巨人現役時代からなじみの店で、店内には王監督はもちろん、巨人長嶋茂雄終身名誉監督らの写真がズラリと並ぶ。

 「秋はひと口、ふた口でダメだったけど、今日は秋より食べられたよ。並だったけどね」。以前、王監督がこの店に担当記者を招いたとき、迷わずに「大」を注文した。昨年7月に胃がんのために、胃の全摘出手術を受けてから、約7カ月。昨年の秋季キャンプでも同店を訪れたが、グラウンドでもユニホームを着なかった王監督は、その時点では食事面でも回復の途中だった。そんな王監督が「並」とはいえ、宮崎名物の釜揚げうどんを平らげた。

ソフトバンクのキャンプ視察を訪れた五輪日本代表星野監督(右)と握手を交わす王監督=07年2月2日(撮影・藤尾明華)ソフトバンクのキャンプ視察を訪れた五輪日本代表星野監督(右)と握手を交わす王監督=07年2月2日(撮影・藤尾明華)

 1月26日には報道陣と中華料理店で会食した。王監督はシーズン中の試合前、移動日、試合後など、ことあるごとに報道陣を取材を兼ねた食事会に招く。このときが王監督の手術後、初めて開かれた報道陣との昼食会だった。焼きギョーザ、ひき肉のレタス包みなど、9品目を王監督は注文した。小皿に取り分けた量こそ少ないが、以前に近い勢いで、王監督は食事を口に運んだ。その様子を聞いた球団関係者は「それでも監督はゆっくり食べているんだよ」と苦笑いした。胃をすべて失ったため、食事をよくかんで食べる、咀嚼(そしゃく)の徹底を王監督は求められていた。横の席から見る王監督の食べっぷりは、とても胃がんの手術を乗り越えて1年もたたない人には思えなかった。

 その際に言った言葉がある。「以前と比べてだいぶ食べられる量も範囲も増えたんだよ。ラーメンは正月あたりに食べたけどまだちょっとね。最終的にそこまでいければ」。王監督のめん好きは有名だが、その大好物を回復のバロメーターの1つとしていた。宮崎キャンプでは精力的に動き回る王監督だが、何よりの回復ぶりは、うどんを完食できたことが示していた。【中村泰三】

中村 泰三なかむら・たいぞう
93年に西部日刊スポーツに入社。95年からダイエー担当。02年から3年間、東京本社野球部に出向。06年からソフトバンク担当に復帰。福岡県直方市出身、36歳。

※本連載は毎週木曜日更新予定です



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