<アジア大会:ボクシング>◇第11日◇29日◇韓国・仁川

 ボクシング男子で12年ロンドン五輪バンタム級銅の清水聡(28=ミキハウス)が、ライト級で銅メダル以上を確定させた。準々決勝で中国選手に2-1の判定勝ち。3位決定戦がないため、メダルが決まった。昨年6月に現役続行を決断。五輪以来約2年ぶりの国際大会で、復帰即金メダルに照準を合わせた。フライ級林田翔太(22=駒大)も判定勝ちし、銅以上が確定した。

 五輪銅のサウスポーが、多彩なパンチをヒットした。清水は右構えの相手に左ストレート、左アッパーを打った。五輪と違うヘッドギアなしでも意に介さずにパンチを出し続けた。判定は2-1も勝利は明白。「波に乗っていけそうな気がするので、しっかり勝ちたい」と頂点を見据えた。

 ロンドンではミドル級金の村田とともに日本人44年ぶりの五輪メダルを獲得。引退して指導者に転身する道もあったが、気持ちがうずいた。長期休養を経て昨年6月、大阪市内で日本ボクシング連盟の山根会長に「リオを目指してやりたい」と直談判。山根会長は「ボクシングは人に言われてやる競技じゃない。こちらは『やれ』も『やるな』も言わなかった。うれしくて涙が出た」と振り返る。

 今春、自衛隊を退職して復帰を正式表明。大会前、プロとのスパーで顔が腫れるほど打たれたこともあるが、しっかり仕上げた。「相手のパンチも見えるし体も動く」と手応え十分だ。

 大会前半、韓国に応援に来た村田の存在も刺激になった。「僕の身内のものまねして帰った」と清水。30歳で迎えるリオ五輪へはずみをつける金メダルを狙う。【益田一弘】