日本は中国を35-34で下し、初の金メダルを獲得した。

判定が出る前に快挙は確信した。34-34のまま、1本先取した方が優勝の延長戦に突入した。

その37秒だった。日本の東晟良(せら、18=日体大)は中国選手の攻撃をかわした後、剣を突き合った。得点を示すランプは両軍に灯った。それでもサイドで戦況を見守っていた宮脇花綸(かりん、21=慶大)は壇上に上がって、東と抱き合った。確信した通り、審判が優勝の1本を日本に認めると、選手、コーチが輪になって喜んだ。最終9巡目の残り4・75秒で追いつかれる嫌な展開を振り払った。

東は「最初の優勝メンバーに入れてすごくうれしい」と初々しく笑った。20年東京オリンピックへ向けてもたしかな自信となる結果。宮脇は「新しい歴史を作っていけるチームなんだと感じた」と語った。

チームの躍進を支えたのは昨年1月に就任したフランク・ボアダン・コーチ(45)。そのフランス人はチームに「ファイティングスピリッツ」をもたらした。練習から試合と同じレベルの強度、接近戦を要求。技術は高くても、なかなか勝ちきれない。殻を打ち破るため気持ちを前面に押し出させた。菊池小巻(21=専大)は振り返る。「練習でも本気で泣くぐらい取り組んできた」。練習で泣いたから試合で笑った。