30歳のベテラン伊藤舞(大塚製薬)が粘りの走りをみせた。30キロ前に先頭集団から遅れながら、単独走で体を前に動かす。マラソン10戦目、「以前なら離れたら『どうしよう』となっていたけど、今日は冷静でした」と経験を力に、12年大会の記録を44秒上回る2時間24分42秒の自己記録でゴールした。

 その3年前の大会は、ロンドン五輪選考会。11年世界選手権代表(22位)として野口、赤羽らに挑んだが、結果は5位。自己ベストにも「初めて五輪を感じてたので悔しかった」と思い出す。

 昨年8月に中足骨、12月に仙骨と左半身の疲労骨折が続いたことから、「体のバランスを整えた」という。足の指先と膝の向きをそろえる股割りなど、1日1時間の体幹強化を続けた。「世界ではまだまだ私より年上で速い選手がいる。もっと速く走りたい」。3年前の苦い記憶の名古屋路で、世界選手権の代表選考に食い込む成長を示した。