日本陸連は11日、世界選手権(8月、北京)マラソン代表として計6人を発表した。女子は名古屋ウィメンズ3位の前田彩里(23=ダイハツ)ら3人を選び、選考レースの昨年11月の横浜国際で優勝した田中智美(27)を選ばなかった。レース展開などを考慮し、大阪国際3位の重友梨佐(27)が選出された。

 都内で開かれた日本陸連の代表発表でも、質問は女子の選考に集中した。

 男女の選考レースで唯一優勝した田中が外れたことに、取材で訪れていた、84年ロス五輪代表の増田明美さんは「びっくりしました。なぜ同じ26分台で大阪で3位だった重友さんなんでしょうか?」と口火を切った。日本陸連の酒井強化副委員長は「前田、伊藤、重友は我々の設定している(2時間)22分30秒を目指す走りだった。田中は世界と戦うなかではレース内容的には物足りないものがあった」と返した。しかし、増田さんは「重友の後半の5キロの失速の兆しを見ると、まだまだだと感じた。田中は圧倒的な強さを感じた。これでいいんでしょうか?」と納得しなかった。

 日本陸連が重要視したのは、レース運び。ハイペースの先頭集団に積極的についていったことを評価し、重友、そして伊藤を選んだ。田中は序盤に先頭集団から離れたことがマイナスに働いた。外国勢を見れば後半追い上げ型で上位進出する選手もいるが、酒井強化副委員長は「高い目標を掲げていく。最初から先頭集団にいないと勝負にならない。後ろからはあげていって、22、23分を出したら評価はしますが」と説明した。