男子200メートルで高瀬慧(26=富士通)が、日本歴代2位の20秒14の大会新記録で優勝した。追い風1・0メートルの好条件下、シーズン序盤ながら今季世界最高タイ記録となった。日本陸連が定める世界選手権(8月、北京)の派遣設定記録を突破し、出場に大きく前進した。

 電光掲示板に表示されたタイムにどよめきが起こった。男子200メートルで高瀬が自己記録を0秒20更新する日本歴代2位の20秒14でゴールを駆け抜けた。12年ロンドン五輪や13年世界選手権の決勝進出に相当する好記録に「今までにない走り。こんなに出るとは正直思っていなかった」と興奮気味に語った。

 スタートで飛び出し、滑らかな加速でスピードに乗った。直線に入る前にトップに立ち「(コーナーから)抜けるところでもう1回ギアが入った。すっきりしたレースができた」と後半もピッチが落ちなかった。

 最近になって始めた、より内寄りのコース取りで走る試みが早速実った。内側を走れば走る距離は短くなるが、遠心力が強まって体への負担が増す。さらに高度なカーブを走る技術が必要になる。練習で内側のラインから20センチの場所に付けた目印を左足で常に踏んで走ることで感覚をつかみ「すごく難しいけれどうまくできた」と自賛した。

 陸上シーズンはこれから本格化するが、20秒14は世界記録保持者のボルトらを差し置いて今季世界最高タイ。3月のテキサスリレーでは追い風参考ながら20秒09をマークするなど、地力は確実についてきている。

 20秒03の日本記録を持つ末続慎吾(熊本陸協)は03年世界選手権で決勝に残り、3位に入る偉業を成し遂げた。高瀬は「世界選手権の準決勝で20秒0台や19秒台を出せるかが勝負」と、世界の舞台での「ファイナリスト」を次の目標に定めた。

 ◆高瀬慧(たかせ・けい)1988年(昭63)11月25日、静岡市生まれ。静岡西高、順大を経て、11年に富士通入社。12年ロンドン五輪は200メートル準決勝敗退、1600メートルリレー予選敗退。世界選手権は11年1600メートルリレー予選敗退、13年は200メートル1次予選敗退、400メートルリレー6位。100メートルの自己ベストは日本歴代7位の10秒09。179センチ、68キロ。

 ◆世界選手権選考基準 6月の日本選手権(新潟)に出場した選手の中から、以下の優先順位で選考される。<1>派遣設定記録を満たし、日本選手権8位以内の最上位者<2>参加標準記録を満たした日本選手権優勝者<3>14年アジア大会の個人種目優勝者で参加標準記録を満たし、日本選手権で8位以内の選手<4>派遣設定記録を満たし、日本選手権8位以内の選手<5>15年アジア選手権の個人種目優勝者<6>参加標準記録を満たし、日本選手権3位または日本GPシリーズ及びゴールデンGP川崎で日本人1位の選手。