日本陸連は27日、都内で理事会を開き、男女マラソンのナショナルチーム(NT)から「代表選考でのアドバンテージ」を外すことを決めた。昨春スタートしたNTは、日本陸連の強化委員会が直接指導。16年リオデジャネイロ五輪代表選考でも優先権があるとされていたが、わずか1年で方針が180度変わった。

 理事会では本年度のNT編成について協議。この1年の競技実績などを考慮する編成方針などは変わらないが「代表選考の時点で、NTであるかどうかは参考にしない」と、酒井勝充強化副委員長は明言した。以前の理事会で「好タイムを出しても、NTにいないだけで選ばれないのはおかしい」と疑問を呈した瀬古利彦理事は「NT以外の若手もやる気になれる。いい変更だと思う」と話した。

 代表争いをより活性化して、実績のない選手にも五輪へのチャンスを与えようという変更だが、NT自体が迷走しているのも事実。本来ならメンバーが発表されている時期だが、まだ候補選手らに打診している段階だという。「目標はリオでの上位。そのために暑熱対策などサポートを万全にしていく」と酒井副委員長は話したが、代表へのアドバンテージがなくなり、NT入りを辞退する選手が出てくる可能性もある。【荻島弘一】