男子200メートルで“最速男”ウサイン・ボルト(28=ジャマイカ)が20秒29で優勝したが、2位のツァーネル・ヒューズ(19=アンギラ)とは0秒03差の辛勝だった。

 コーナーをトップで抜けてきたボルトだが、本来のスピードに乗った走りではなく、直線では2つ内側のレーンのヒューズに食い下がられた。ヒューズは昨年の世界ジュニア選手権5位の実績があるが自己記録は20秒15で、世界記録の19秒19を持つボルトとは1秒近い開きがある選手だ。

 ボルトはなんとか逃げ切り200メートルでは今季3連勝を達成したが、「このタイムでは喜べないね」と記録に対して不満を口にした。前戦のオストラヴァ(チェコ・5月26日)では雨のため20秒13に終わり、今回は「19秒台は出したい」と大会前に話していたが、向かい風2・8メートルに好記録を阻まれた。

 レース後のボルトは「どうしてこんなレースになったのか、ジャマイカに帰って分析しないといけない」と落胆の色を隠せなかったが、「今日のタイムより速くなっていく手応えはある。自分としても、残りのシーズンに期待したい」と前を向いた。

 男子100メートルはタイソン・ゲイ(32=米国)が優勝したが、やはり向かい風(1・7メートル)のため、タイムは10秒12と低調だった。

 対照的に好記録が生まれたのが男女の400メートル。男子はウェイド・ヴァン・ニーケルク(22=南アフリカ)が44秒24の南アフリカ新記録で優勝。女子はフランシーナ・マッコローリー(26=米国)が49秒86の今季世界最高で勝った。

 ◆今季の男子200メートル

 五輪&世界陸上で5連勝中のボルトが北京世界陸上でも優勝候補筆頭に挙げられるのは間違いないが、今季はまだ20秒も切っていない。

 対照的に絶好調なのがジャスティン・ガトリン(33=米国)で、5月30日のダイヤモンドリーグ・ユージーン大会に19秒68で優勝。100メートルの9秒74と2種目で今季世界最高を出している。

 ニューヨークでボルトに迫ったヒューズは初めてのダイヤモンドリーグ出場で、「誰が同じレースに出ているかは気にせず、自分の走りに集中した」と言う。シニアでは無名だった19歳が、世界陸上でもダークホースとして注目されそうだ。

 日本勢では高瀬慧(26=富士通)が5月に20秒14の日本歴代2位をマーク。世界陸上でも決勝進出が期待できるレベルに成長してきた。