陸上男子100メートルで日本歴代2位の10秒01を持つ桐生祥秀(19=東洋大)が、右太もも裏肉離れからの復帰戦に日本インカレ(9月11~13日、ヤンマースタジアム長居)を検討していることが22日、分かった。

 桐生は、5月30日の練習中に負傷。練習再開まで6週間の診断を受けた。現在はジョギングを始めた段階。東洋大の土江コーチは「順調に回復しています。ただ(26日開幕の)日本選手権は出ません。(8月の)世界選手権も出られません。出ることは競技人生を縮めることになる」と発言。世界選手権が終了する8月末までは、レースに出場しない見通しとなっている。

 目標のリオ五輪に向けて、秋から仕切り直す。五輪出場にはまず参加標準記録10秒16のクリアが必要。国際陸連が定める記録の有効期限は今年5月1日から来年7月11日になっている。

 今春の桐生は、世界選手権の参加標準記録(10秒16)をクリアしていなかった。「普通に走れば大丈夫」と話していたが、レースのたびにタイムを意識せざるを得なかった。余裕をもって五輪イヤーを迎えるため、今秋に10秒16をクリアすることが理想だ。

 土江コーチは、復帰レースについて「日本インカレに出られれば、理想です」と見通しを示した。ただ「もう1度(けがを)やってしまうのが最悪なので」と、じっくりと状態を見極める構え。日本インカレを見送った場合は国体(10月2日開幕、和歌山・紀三井寺公園陸上競技場)が視野に入る。「ジェット桐生」が地元滋賀に近い関西から再出発のスタートを切る。