男子20キロ競歩世界記録保持者、鈴木雄介(28=富士通)のリオ五輪出場に黄信号がともった。12日、京都市内で全国都道府県対抗女子駅伝(17日)記者発表が行われ、日本陸連の酒井勝充強化副委員長(55)が出席。マラソン、競歩を束ねる酒井副委員長は鈴木の現状について「2、3月の代表選考会が少し厳しいという話です」と明かした。

 鈴木は昨年3月、1時間16分36秒の世界記録を樹立。昨夏の世界選手権北京大会は金メダルを期待されたが恥骨の痛みで途中棄権。昨年いっぱいは治療に専念する方針を示していた。

 同種目は代表枠3で、ここまで内定者なし。代表選考会は2月21日の日本選手権20キロ競歩(兵庫)と3月20日の全日本競歩能美大会(石川)。五輪に出るためにはどちらかに出場する必要がある。

 代表候補になるには日本人上位3人に入る必要がある。日本競歩はレベルが高く、昨年の世界ランキング上位8人中6人が日本人。酒井副委員長は「五輪参加標準記録(1時間24分0秒)を破っている選手がたくさんいるので、世界記録保持者でも選考会で結果が必要になる」。鈴木は五輪金メダルの有力候補だけに、今後が注目される。【益田一弘】

 ◆鈴木雄介(すずき・ゆうすけ)1988年(昭63)1月2日、石川県能美市生まれ。石川・辰口中で競歩を始め小松高、順大を経て富士通。昨年3月に1時間16分36秒の世界記録を樹立。昨夏の世界選手権は途中棄権。171センチ、58キロ。