リオデジャネイロ五輪の女子マラソン代表が当確となった福士加代子(33=ワコール)が、前代未聞の選考会再出場に向けて動きだした。出場を検討していた最後の五輪選考レース・名古屋ウィメンズ(3月13日)について、所属先の永山忠幸監督(56)は2日、「エントリー書類の記入は終わっています」とあらためて明言。登録準備を終えて出場する意向を示した。

 福士は1月31日の大阪国際女子で2時間22分17秒で優勝。日本陸連の五輪派遣設定記録2時間22分30秒を突破するなど代表は当確の状況だ。だが名古屋で設定記録を上回る選手が複数出ると、福士が代表3枠(伊藤は既に内定)からわずかに落選する可能性があり、日本陸連からは「当確」が出ていない。そのため日本勢2位以内を勝ち取り、自力で代表の座を100%にすることを選んだ。

 五輪当確選手がわずか1カ月半の間隔で選考レースに出場すれば、故障を含めてリスクを背負うのは百も承知だ。永山監督は「無謀かもしれないが、福士が名古屋で(日本人で)2番に入ることは不可能じゃない」と力説した。

 マラソンは1レースにつき、練習は通常3カ月が必要とされる。ただ福士はスピード重視の独自調整で、昨年10月のシカゴが1カ月、今回の大阪国際は1カ月半で仕上げた。体調次第で最終的な出場は流動的な部分を残すが、木崎、野口らが出る名古屋に間に合う可能性は十分ある。リオ本番を含めて1年間で4レースという過密日程。福士は常識を打ち破って、マラソンで初、通算4大会連続の五輪へ向かう。【益田一弘】