リオデジャネイロ五輪代表の最終選考会となる名古屋ウィメンズマラソン(3月13日)の主催者は25日、1月31日の大阪国際女子を制し、代表入りが確実視される福士加代子(33=ワコール)が、一般参加でエントリーしたと発表した。25日、名古屋市内で大会記者発表が行われた。日本陸連の麻場一徳強化委員長(55)が出場回避を要望していたが、福士側は“強行エントリー”で初志貫徹。あいまいな陸連の選考基準が、メダル候補に余計な消耗戦を強いる展開となってきた。

 今年に入ってからの五輪女子マラソン代表選考問題の流れと過去のマラソン選考騒動は以下の通り。 

<これまでの五輪女子マラソン代表選考問題の流れ>

 ◆1月31日 大阪国際女子で福士が独走優勝。2時間22分17秒は同30秒の日本陸連設定記録を突破。福士「リオ決定だべえ」。

 ◆2月1日 福士陣営が名古屋ウィメンズ出場を検討。ワコール永山監督「陸連から『当確』がない」。

 ◆同6日 丸亀国際ハーフの前日イベントで、日本陸連の酒井強化副委員長が「出るなとは言えない。選考要項ではわずかに落選もあり得る」と発言。

 ◆同8日 永山監督が「(代表入りへ)生きるか死ぬかでやっている。我々は攻めるしかない」と合宿準備に入ったことを明かす。

 ◆同21日 日本陸連・麻場強化委員長が福士陣営へ異例の要望。麻場強化委員長「名古屋に出ることは避けてもらいたい」。

 ◆同25日 名古屋ウィメンズエントリー選手発表。福士は一般参加。永山監督「やめるのは落選ないと判断した時だけ」。

 ◆3月13日 名古屋ウィメンズ号砲。

 ◆同17日 日本陸連理事会が開かれ、代表決定の予定。

<五輪女子マラソン選考騒動>

 ◆92年バルセロナ 世界選手権4位の有森裕子と大阪国際で有森を上回る2時間27分2秒の松野明美が争う。松野は「私を代表に選んでください」と異例の会見を開くも、有森に軍配。

 ◆96年アトランタ 鈴木博美は大阪で2時間26分27秒と候補中、最高タイムを出しながら落選した。一時は陣営が鈴木を強く推薦するなど論議を呼んだ。

 ◆00年シドニー 世界選手権で市橋有里が銀メダルで内定。その後、東京で山口衛里が優勝、大阪で弘山晴美が2位、名古屋で高橋尚子が優勝。3つの選考レースで2時間22分台の好タイムが続出。弘山が涙をのんで、早期内定に批判の声も出た。