陸上男子100メートルで日本歴代2位の10秒01を持つ桐生祥秀(20=東洋大)が「暁の超特急スタイル」で五輪イヤーに臨む。1日、沖縄・石垣島で日本陸連の短距離合宿が行われ、桐生は両足を「ハの字」にしたスタートを反復した。

 桐生は「今年の冬に少し変えてみた。30メートルまでしっかりいけるのは『ハの字』です」。これまで不調時は足が真っすぐ進行方向を向いて、つっかえ棒のような形で上体が早く起き上がっていた。両かかとをわずかに外に開いて内股にすることで低い姿勢が保てるという。「ハの字」は32年ロサンゼルス五輪100メートルで日本人唯一の決勝進出者である「暁の超特急」吉岡隆徳が提唱した日本人向きのスタートダッシュ。ジェット桐生も伝説の男と同じ方法にたどり着いた。

 今季初戦は世界室内選手権(17日開幕、米オレゴン州)での男子60メートルを予定。その後はテキサス州に滞在して、同じ20歳で昨年世界選手権銅メダルのブロメルと合同練習を行うプランもある。テキサスリレー(30日開幕)まで約3週間の米国修行となる。「9秒台を何回も出すような選手になりたい」。最大の目標であるリオ五輪決勝進出に向けて、動きだす。【益田一弘】