リオデジャネイロ五輪代表を目指す女子マラソンの福士加代子選手(ワコール)が名古屋ウィメンズ(13日)を欠場することが1日に発表された。

 スポーツライターの増田明美さんは「走らなくて本当に良かった。賢明でした」と異例の連戦回避を歓迎したが、同時に日本陸連の選考方法の改善を求める声が上がっている。

 福士選手は1月の大阪国際で日本陸連の2時間22分30秒の設定記録を突破する2時間22分17秒で優勝し、五輪代表を確実にした。だが選考基準では世界選手権で8位入賞した場合を除き、代表選出は全ての選考会終了後の理事会まで決まらない。

 名古屋で複数の選手が快走した場合は落選の可能性が残り、福士選手側は無謀とも言える挑戦に乗り出す方針を示していた。

 増田さんは「完璧なレースをして設定記録を破り、優勝した人に苦しい思いをさせている。優勝者に対する敬意がない」と指摘した。3つの条件の異なる国内選考会の成績で選ぶ現行方式は主観が入り、複雑になる。遠藤利明五輪相も「誰もが納得できる基準を決めておけば、選手もすっきりした気持ちでレースに臨めるのではないか」と提言していた。

 シドニー五輪金メダルの高橋尚子さんを指導した佐倉ACの小出義雄代表は国内選考会の一本化を主張する。「そこで負けたら強い選手でも納得する。コースも温度も違うレースを比較すること自体がおかしい」と訴えた。

 だが日本陸連の尾県貢専務理事は「一発選考はその時点で一番、調子が良い選手を選ぶことになる。誰が出ても優勝を狙える国ならいいが」と消極姿勢を崩さない。増田さんは「2020年東京五輪もあるし、客観的で分かりやすい基準であるべきだ」と要望した。