女子マラソンの04年アテネ五輪金メダル野口みずき(37=シスメックス)が、ラストチャンスで12年ぶりの五輪切符を狙う。明日13日号砲のリオデジャネイロ五輪最終選考会となる名古屋ウィメンズ(ナゴヤドーム発着)を前に11日、名古屋市内で招待選手会見に出席。「最後の五輪挑戦」と明言し、2年7カ月ぶりのマラソンでの優勝を掲げた。結果次第でラストランの可能性もある大一番で、最後の力を振り絞る。

 迷いはない。野口は「最後の五輪に向けての挑戦。悔いの残らないように強い気持ちをもって臨みたい」とあらためて宣言した。13年8月の世界選手権モスクワ大会から2年7カ月ぶりのマラソン。「全力で走りきりたい。優勝したら一番五輪に近い」。目指すのは表彰台の真ん中だ。

 04年アテネ五輪金と08年北京五輪欠場。称賛と批判を浴びた37歳も集大成を迎える。3月3日まで1カ月の千葉合宿を敢行。20年前から野口を指導する広瀬総監督は「精神状態はいい」。流れに乗れば、モスクワ切符をつかんだ3年前の名古屋(2時間24分5秒)再現も視野。切符をとれば、38歳1カ月で五輪出場。リオ内定の伊藤舞(32歳2カ月)を抜いて同種目の日本女子最年長代表になる。

 昨年は長いスランプに陥った。メニューをこなせず、落ち込む日々が続いた。広瀬総監督は「そこまでして走らなくていいじゃないか、と。走れない野口を見るのはつらかった」。それでもリオを目指した。野口はこの日「広瀬総監督と(所属の)山口マネジャーがそばで支えてくれたことが大きかった。何度もやめようと思ったけど、2人がいてくれてもう1度、夢である五輪の舞台へ、という気持ちが途切れなかった」。

 1月の大阪国際で優勝した福士加代子の強行エントリーで注目を集めた名古屋だが、その福士は欠場が決定している。復活か、ラストランか。世界歴代5位の日本記録2時間19分12秒を持つ野口の走りが注目される。【益田一弘】

 ◆野口(のぐち)みずき 1978年(昭53)7月3日、三重県伊勢市生まれ。中1で陸上を始め宇治山田商高-ワコール-グローバリー-シスメックス。03年世界選手権パリ大会銀、04年アテネ五輪金。05年9月のベルリンで日本記録2時間19分12秒をマーク。08年北京五輪は直前の故障で欠場、13年世界選手権モスクワ大会は途中棄権。151センチ、40キロ。

 ◆リオ切符の行方 枠は最大3。昨夏の世界選手権で日本勢最高の7位となった伊藤舞(大塚製薬)が内定。残り2枠を昨年11月のさいたま国際、1月の大阪国際、名古屋ウィメンズの出場者から選ぶ。各レース日本人上位3位以内が対象。日本陸連の設定記録2時間22分30秒を満たした1人を優先に、五輪で活躍できる選手を選ぶ。大阪で福士加代子(ワコール)が設定記録突破の2時間22分17秒で優勝しており代表確実。さいたまの日本人トップ吉田香織(ランナーズパルス)は2時間28分43秒とタイムが物足りないため、名古屋の日本人1位が吉田のタイムを抜けば、最後の1枠に収まる可能性が高い。