マラソンなど他競技に関して、何かを言う立場ではありません。競泳の五輪代表選考について説明します。代表に入るには、4月の日本選手権で水連が設定した派遣標準記録を突破して2位以内に入ることです。派遣標準記録とは、五輪の決勝進出を見込めるラインとして算出したタイム。完全な一発選考です。

 一発選考になったのは、00年シドニー五輪の際の千葉すず選手の問題が大きなきっかけでした。当時、水連内に基準はありましたが開示されていなかった。騒動になった反省を込めて、01年世界選手権から今の方式になりました。

 一発選考のメリットは本番に強くなること。どんなトップ選手でも例外はありません。いかにその日にピークを合わせるか。五輪年は本番を想定して日本選手権の予選、決勝の間に準決勝も設けます。準決勝から翌日の決勝までの24時間をどう過ごすか。五輪さながらの重圧と闘い、派遣標準記録をきっての2位以内を目指す。厳しい本番を戦うための選考会なのです。

 五輪代表は少数精鋭です。最大で男女計52人の出場枠に対して、派遣人数は04年アテネは20人、08年北京は31人、12年ロンドンは27人。出場枠返上には批判もありますが、選手の派遣には税金を使っています。次世代に経験を積ませることも重要かもしれませんが、当然結果が問われます。

 リオ五輪代表選考を兼ねた日本選手権は4月4日に開幕します。本番に向けて戦えるチームをつくって本番に臨みたいと思います。

 ◆千葉問題 00年4月、シドニー五輪選考を兼ねた日本選手権で、千葉すずは女子200メートル自由形で代表基準のA標準記録を突破して優勝したものの、代表から落選。千葉は国際スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴し、代表基準のA標準記録を突破しての優勝の実績を訴えたが却下された。日本水連の「前年世界ランク16位以内」との基準が非公表だったことが騒動につながった。