IAAF(国際陸連)ワールドチャレンジ第3戦「セイコーゴールデングランプリ陸上2016川崎」が5月8日、等々力陸上競技場で開催される。世界からトップアスリートが集結。男子100メートルは昨夏の世界選手権北京大会で銀メダルを獲得したジャスティン・ガトリン(34=米国)、自己ベスト10秒00の張培萌(29=中国)が参戦する。今大会はリオデジャネイロ五輪(8月)の日本代表選考会も兼ねており、国内選手たちにも注目が集まる。

 近年著しい活躍を見せる中国にあって、張は長く短距離のエースとして引っ張ってきた。13年世界選手権ロシア大会の準決勝で、日本記録(伊東浩司)に並ぶ10秒00をマーク。決勝にこそ進めなかったが、9秒台が中国陸上界にとって夢ではなく、目標に変わった瞬間だった。そして昨年5月、張の影響を受ける3歳下の蘇炳添が米国で9秒99を記録し、目標は現実となった。蘇の偉業は、張の功績あっての結果だった。

 186センチの長身で、大きなストライドが魅力のスプリンター。地元中国で開催された昨年の世界選手権では、400メートルリレー決勝のアンカーを走った。2着だった米国の失格もあり、38秒01の中国が2位に繰り上がり、歓喜に浸った。蘇の台頭で「中国のエース」という看板は奪われた格好だが、まだ29歳、老け込む年ではない。8月のリオに向け、張の巻き返しが川崎から始まる。