無印男が、リオ戦線に割って入った。陸上の水戸招待が5日、茨城・ケーズデンキスタジアム水戸で行われた。招待男子100メートル決勝は追い風1・0メートルで、19歳の竹田一平(中大)が大会新の10秒27で優勝。100メートル今季初戦で3位だったサニブラウン・ハキーム(17=東京・城西高)に先着した。

 予選でどよめきが起こった。向かい風2・1メートルの悪条件で10秒29をマーク。参加標準記録10秒16も視野に入る走りを見せた。本人も「追い風2・1メートルだと思った」と勘違いするほど。人生で初めて報道陣に囲まれ「サニブラウン君と一緒に走れてすごくうれしかった。今年は10秒30を切るのが目標で…。僕、うまくしゃべれていますか?」と戸惑った。日本記録10秒00を持つ日本陸連の伊東強化副委員長も「予選の動きは衝撃的。伸びしろもある」。

 埼玉・不動岡高2年で3段跳びから100メートルに転向したが、3年時の全国総体は予選落ち。大学1年の昨年は自己記録10秒52で中大のリレーメンバーに入れなかったが、3段跳びのリズムを加速の局面に生かすことで急成長。高校入学時には陸上をやめて、軽音部かラグビー部に入ることも考えた19歳は「もしかしたら五輪に出られるかも」とはにかんでいた。【益田一弘】

 ◆竹田一平(たけだ・いっぺい)1997年(平9)3月13日、埼玉県草加市生まれ。小4で陸上を始める。不動岡高-中大。昨年の日本ジュニア選手権で3位に入った。174センチ、71キロ。家族は両親と姉。