50キロ初挑戦の小林快(23=ビックカメラ)が、来夏の世界選手権ロンドン大会代表入りを決めた。日本陸連の派遣設定記録3時間44分38秒を上回る3時間42分8秒で初優勝し、内定条件をクリア。20キロからの転向で日本歴代4位の快記録を出し、「ロンドン1号」になった。

 小林が、20キロで培ったスピードを武器に独走Vを飾った。25キロ付近で飛び出してゴール。ロンドン切符を手にして「まさか初の50キロで内定できるとは。うれしいです」と涙。日本歴代4位のタイムは「初50キロ競歩日本最高」のおまけつき。結果を知った昨年世界選手権銅の谷井が「やばいですねー」と関係者にメールを送ったほどの快記録だ。

 箱根駅伝に憧れた。高校時代から長距離と競歩の二足のわらじ。だが「けがもあって、タイムも出なくて」と早大3年で走りをあきらめた。ただ失意から競歩に身が入らない。そんな時、13年世界選手権モスクワ大会で同学年の西塔が20キロで6位入賞する姿をテレビで見た。「おれは何をやっているんだ」と奮起した。

 23歳の新星は「50キロは日本人が世界で勝負できる種目。気負わず、びびらず、入賞、メダルを目指したい」とロンドンを見据えた。

 ◆小林快(こばやし・かい)1993年(平5)2月28日、秋田県生まれ。大館東中1年で陸上を始める。秋田工高では長距離と競歩を両立し、早大3年から競歩に専念。15年春にビックカメラに入社。20キロの自己記録は日本歴代5位の1時間19分12秒。165センチ、53キロ。家族は両親と妹。

 ◆男子50キロ競歩代表選考 代表枠は最大3。選考会は今大会と来年4月17日の日本選手権(石川)。日本陸連が定めた3時間44分38秒の派遣設定記録(世界ランク12位相当)を突破して日本人1位になれば、自動的に代表入り。それ以外は選考会の日本人3位以内から選ばれる。小林が内定したことで残りは最大2枠。