陸上女子短距離の福島千里(28)が、20年東京五輪を目指して、プロに転向することが19日、分かった。

 今日20日に07年から在籍した北海道ハイテクACを退団して、新しくスポーツマネジメント会社とマネジメント契約を締結することが発表される見通し。3大会連続五輪出場の日本最速女王が、母国開催の五輪で輝くために決断を下した。日本女子短距離界初のプロとして、新境地を切り開く。

 日本最速女王が、大きな決断を下した。福島が、所属の北海道ハイテクACを退団して、プロに転向することが明らかになった。100メートル、200メートルの日本記録保持者が東京五輪に向け新しいステージに向かう。

 福島は、昨夏のリオデジャネイロで3大会連続の五輪出場を果たした。パーフェクトに近い準備で日本を出発したが、大会直前の米国合宿で左太ももに違和感を覚えた。五輪本番では100メートルを欠場して200メートルに専念したが、足の不安もあって準決勝進出を逃した。帰国後の昨年10月に「やめたりはしないです」と話していたが、練習環境などを含めて、よりよい形を模索してきた。たどり着いた答えが、プロ転向だった。

 最大の目標は、4大会連続となる3年後の東京五輪で輝くためだ。プロ転向と同時に、これまで保留してきた東京五輪へのチャレンジをはっきりと目標に定めた形。競技力向上への強い意欲を持っており、プロ転向によって、新しい環境でのトレーニングなど、選択肢は飛躍的に広がる。

 日本のトップとして常に世界と戦ってきた。五輪では08年北京で日本女子56年ぶりの100メートル出場。11年世界選手権大邱大会では100メートルと200メートルで準決勝に進出。100メートルは日本女子79年ぶり、200メートルは同史上初の快挙。昨年6月の日本選手権200メートルは、自身の日本記録を6年ぶりに更新する22秒88で6連覇。現在も進化していることを証明している。

 07年から在籍する北海道ハイテクACは「円満退職」することになる。今年8月の世界選手権ロンドン大会に向けて、当面の間は同ACでも練習する形だ。

 リオ五輪後のプロ転向は体操内村、陸上ケンブリッジ、競泳萩野に続いて、福島が4人目。陸上日本女子のプロは過去に有森裕子、藤村信子、高橋尚子がいるが、すべてマラソン選手。身体能力の差が如実に出るとされるスプリンター(短距離走者)で日本女子がプロになることは初めてのケースになる。福島が、日本女子短距離界のパイオニアとして、新しい扉を開く。