箱根駅伝の“3代目山の神”神野大地(23=コニカミノルタ)が先輩の意地を見せつけた。愛知のアンカーとして5番目にタスキを受けると、母校青学大の一色恭志(22)下田裕太(20)らと3位集団でデッドヒート。リオ五輪3000メートル障害代表の塩尻和也(20=順大)も加えた争いを終盤のスパートで制し、チームを3位に押し上げた。

 青学劇場の主役は先輩が譲らなかった。最終7区(13キロ)。愛知の神野は、学生最強で1学年下の京都の一色の11秒後に、2学年下の10代マラソン記録を持つ静岡の下田と同時にスタートした。2キロすぎで一色に追いつくと群馬の塩尻も含め4人の集団に。ラスト3キロ付近でギアを上げて3位でゴールした。後輩2人らとの大会初対決を制し「先輩の意地を見せられて良かった」と胸を張った。

 社会人1年目は来季のマラソン挑戦を見据え、長距離を走れる足づくりに重点を置いた。自腹でフィジカルトレーナーとも契約。5000メートルと1万メートルでは自己記録を更新。後輩に負けるのはプライドが許さない。今月13日。一色、下田ら青学大のマラソン強化合宿に参加し、集団での32・195キロ走の最後に猛烈なペースで仕掛けた。負担を心配した原監督から「ペース上げすぎ」と抑えられたほどだった。この日は練習ではない。封じ込めた思いを解放し、意地を示した。

 来季からマラソンに挑戦する。「陸上界のトップレベルで勝負したい。日本記録を(マラソン)1発目から狙えるくらいでスタートラインに立ちたい」と話す。強いのは山だけでないと証明する。【上田悠太】