日本陸連は17日、都内で8月にロンドンで行われる世界選手権のマラソン代表男女6選手を発表した。

 男子は派遣設定記録(2時間7分以内)に及ばなかったが、タイムが上位2人で、内容も十分な福岡国際日本人1位の川内優輝(埼玉県庁)と東京同1位の井上大仁(MHPS)は順当に選出された。そして最後の1枠をめぐり、中本健太郎(安川電機)と東京日本人2位の山本浩之(コニカミノルタ)が争った。

 その「3枠目」の明暗を分けたのは何だったのか? 瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(60)は会見で「いかにレースをコントロールできたかという観点から選びました。中本選手は山本選手と比較して、完成度は中本選手が上と判断しました」と説明した。

 別府大分毎日を走った中本は、記録こそ2時間9分32秒止まりだったが、選考会で唯一の優勝者であり、2時間7分台のタイムを持つエチオピア人ランナーに終盤で競り勝った内容が評価された。加えて12年ロンドン五輪(6位)13年モスクワ世界選手権(5位)と夏の大舞台に強く、実績面で上回った。

 対する山本は、記録こそ2時間9分12秒と中本より20秒速いが、東京は国内最速記録が生まれた新高速コース。タイムで評価を覆すのは難しかった。

 リオデジャネイロ五輪では、日本男子の最高は佐々木悟(旭化成)の16位と惨敗した。お家芸復活へ、世界選手権では上位入賞が求められるところだが、瀬古マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは「(選手に向けて)プレッシャーかけても大変。自分のしくじりがありましたから」。84年ロサンゼルス五輪、88年ソウル五輪で調整に失敗し、惨敗した自身の経験を踏まえての自虐発言で、会見ムードをパッと明るいものに変えた。