低迷する男子マラソン界を王国ケニアで生まれた男が救う!? 日大4年時に箱根駅伝2区で12人抜き区間賞を獲得した、あのガンドゥ・ベンジャミン(25=富士通)が4日、日本国籍の取得を検討していることを明かした。千葉市内で取材に応じ、20年の東京五輪は「ケニアか日本チームか考えている」と語った。18年までに最終結論を出すとしたが、日本マラソン復活へウルトラCになる可能性が出てきた。

 3月末まで所属し、廃部となったモンテローザ時代に練習拠点としていた日大のコーチと話し合う中で、昨春から考え始めた。ケニアの家族にも相談し「自分がオーケーならいいよ」と言われたという。

 国際陸連は国籍変更の厳格化を進めていく方向。ただベンジャミンは来日8年であと2年住めば永住権も得られる見込み。好きな食べ物はうなぎ。ワサビ、納豆も食し、東京・秋葉原で家電を見るのが好きな日本通。国際陸連の規定に抵触する可能性は低そうだ。

 マラソンの自己ベストは2時間9分18秒。記録にはやや物足りなさもあるが、今後はマラソン練習に重点を置く。「2時間6分台を目指したい。東京五輪の目標はゴールドメダル」と頼もしかった。【上田悠太】

 ◆ガンドゥ・ベンジャミン 1991年5月21日、ケニア生まれ。ガル高から留学生として日大に入学。10、11年と全日本学生選手権の1万メートルを2連覇。箱根駅伝は2年で2区2位、4年で2区区間賞。13年にモンテローザ入社。15年東京マラソンで10位。16年大阪マラソン優勝。168センチ、54キロ。

<外国人の国籍取得>

 ◆在日年数 5年以上が目安となる。小学2年生程度の読み書きや、会話ができることが必要。

 ◆試験 申請の際には日本語の面接が行われ、会話力などがテストされる。

 ◆提出資料 住民票や源泉徴収書、国籍証明書など。法務省の審査後、認可。

 ◆国籍変更後の国際大会出場 規定では国・地域の代表歴がある選手は、新国籍取得から原則3年間は出場できない。代表歴がなくても原則的に1年間は出場を認めない。例外もある。

 ◆陸上の主な前例 日本人の父とエルサルバドル人の母を持つ藤原武。04年アテネ五輪男子400メートルにエルサルバドル代表として出場し、13年に日本国籍を取得した。タレント猫ひろしも11年に日本からカンボジアに国籍を変更し、男子マラソンのカンボジア代表として16年リオ五輪に出場。

 ◆他競技 主な選手ではサッカーならラモスや呂比須、三都主、闘莉王、大相撲は小錦や曙、武蔵丸、琴欧洲、ラグビーのリーチ・マイケルらがいる。