陸上のダイヤモンドリーグ第5戦のビスレットゲームズが15日、ノルウェーの首都オスロで行われる。6種目にリオ五輪金メダリストが出場し、そのうち男子走り高跳び、女子の800メートルと円盤投げで金銀銅メダリストがそろう。

 男子走り高跳びは現在最強の3人が集結した。リオ五輪金メダルのデレク・ドローイン(27=カナダ)、銀メダルのムタス・エッサ・バルシム(25=カタール)、銅メダルのボーダン・ボンダレンコ(27=ウクライナ)。13年以降の五輪&世界陸上3大会のメダル9個のうち、この3人が8個を取っている。

 ドローインの特徴は勝負強さ。自己記録は2メートル40の世界歴代7位だが、3人の中では一番低い。それでも15年北京世界陸上、16年リオ五輪と連続金メダルを獲得している。

 バルシムは“世界記録(2メートル45)に最も近い男”と言われ、2メートル43の世界歴代2位を筆頭に、2メートル40以上を室内も含め9回も跳んでいる。14年、15年と連続で年間チャンピオンに輝くほど、ダイヤモンドリーグでは安定した強さを見せるが、五輪&世界陸上では銀メダル2個と勝利から見放されている。

 ボンダレンコはモスクワ世界陸上に優勝した13年、2メートル42の世界歴代3位を跳んだ14年の2シーズンは、強さと高さを兼ね備えたジャンパーだった。しかし15年以降は故障もあり、シーズンベスト2メートル37が2年間続いている。

 今季の成績では5月のダイヤモンドリーグ上海大会に優勝し、6月に入って2メートル37の今季世界最高もクリアしたバルシムがリードしている。ドローインは上海の不調(最初の高さの2メートル20を3回失敗)からどう立て直してくるか。ボンダレンコは今大会がシーズン初戦となるが、14年には2メートル40、15年には2メートル37の好記録を初戦で跳んだ実績を持つ(2年とも日本開催のゴールデングランプリ)。

 優勝記録が2メートル30台後半の混戦なら全員にチャンスがあるが、2メートル40以上ならバルシムが優位に立つ。

 男子円盤投げはロベルト・ハルティング(32=ドイツ)と、クリストフ・ハルティング(27=ドイツ)の兄弟対決が実現する。

 兄のロベルトは09年、11年、13年と世界陸上を3連覇し、12年ロンドン五輪も金メダルと大舞台で無敵の強さを続けた。12年には70メートル66と大台を突破。

 弟のクリストフはなかなか世界のトップレベルに達しなかったが、15年の北京世界陸上で8位に入賞すると、昨年のリオ五輪では68メートル37の自己新を投げて優勝。兄弟で五輪2大会連続金メダルの快挙を達成した。

 兄弟の直接対決は兄ロベルトの22勝1敗。弟クリストフにとって、兄への初めての勝利が五輪金メダルとなった。

 リオ五輪後の初対決が注目される。

 ◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する単日、または2日間開催では最高カテゴリーの競技会シリーズ。2010年に発足し、昨年までは年間総合ポイントで各種目のツアーチャンピオンを決定していたが、今年はファイナル大会出場者を決めるクオリファイリング大会として12大会が実施され、16種目ずつを行うファイナル2大会の優勝者がダイヤモンドリーグ・チャンピオンとなる。各クオリファイリング大会の種目別賞金は3万ドル(1位1万ドル〜8位1000ドル)で、各種目は年間4または6大会で実施される。各大会のポイント(1位8点〜8位1点)合計上位8人(種目によっては12人)がファイナル大会に進出。ファイナル大会の種目別賞金は10万ドル(1位5万ドル〜8位2000ドル)で、年間優勝者には賞金5万ドルのほかダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝で行われるため、緊張感あるレースがスピーディーに続く。また、オリンピックや世界陸上のように1種目3人という国毎の出場人数制限がないため、ジャマイカ、米国勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目など、五輪&世界陸上よりレベルが高くなるケースもある。