無限の可能性を秘める18歳が大会3日間、主役の座を独占した。前日24日に100メートルを初制覇したサニブラウン・ハキーム(18=東京陸協)が200メートルも自己記録となる20秒32で初優勝した。03年の末続慎吾以来、14年ぶりとなる2冠を達成。100メートルに続き200メートルでも世界選手権(8月、ロンドン)の代表に内定した。ロンドンの舞台では2種目で決勝進出の壮大なプランを思い描いた。

 初日から最終日までサニブラウン劇場だった。表彰台の真ん中には白い歯を見せる18歳がいた。左には飯塚、右には藤光。追い風0・6メートルの決勝で自己記録を100分の2秒更新する日本歴代8位の20秒32で優勝。桐生、山県、ケンブリッジらを倒した100メートルに続き、リオ五輪のメダリストを蹴散らした。「日本一になれたのはうれしい」。日本選手権短距離2冠は14年ぶりだった。

 成長が詰まっていた。前日までの2日間で100メートル3本、200メートル1本を走った。今大会5本目の決勝は「正直、疲労が残っていた」。自分の状態と相談してレースのパターンを変えた。普段は後半勝負型だが序盤から飛ばした。「ラストは足が回らないと思っていた」と言いながらも、中盤のコーナーを曲がった時点でトップに立ち、勝負を決めた。