陸上のダイヤモンドリーグ第7戦ミーティング・ド・パリが7月1日、パリのサンドニ競技場で行われる。

 リオ五輪金メダリストは6人が出場。そのなかでも男子3段跳びのクリスチャン・テイラー(27=米国)は世界記録更新が期待できる。日本からは男子走り高跳びに衛藤昂(26=AGF)と戸辺直人(25=つくばTP)が出場する。

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 男子3段跳びで“そのとき”が迫っている。

 ジョナサン・エドワーズ(英国)が1995年のイエテボリ世界陸上でマークした伝説の世界記録、18メートル29が22年ぶりに破られるかもしれない。

 テイラーは一昨年の北京世界陸上で18メートル21を跳び、世界記録に8センチと迫った。昨年はリオで五輪2連勝を達成。今季は5月末のダイヤモンドリーグ・ユージーン大会に18メートル11で優勝した。エドワーズの2番目の記録は18メートル01なので、テイラーはセカンド記録世界最高を10センチも更新したことになる。

 前戦のチェコ・オストラヴァの試合では17メートル57だったが、向かい風1・1メートルの悪条件を考えると18メートル級のジャンプだった。

 テイラーは「エドワーズの地元で世界記録を破る」と、8月のロンドン世界陸上での記録更新を目標としているが、調子が上がればダイヤモンドリーグで世界新がアナウンスされる可能性もある。

 テイラー以外の金メダリストでは、今年5月に世界歴代2位の快投を見せた男子やり投げのトーマス・レーラー(25=ドイツ)、リオで五輪28年ぶりの女子短距離2冠を達成した女子100メートルのエレイン・トンプソン(25=ジャマイカ)も、ハイレベルなパフォーマンスを見せてくれそうだ。

 そして男子走り高跳びにはリオ五輪銀メダルのムタス・エッサ・バルシム(26=カタール)が出場する。前戦のダイヤモンドリーグ・オスロ大会では2メートル38の今季世界最高で、2位のボーダン・ボンダレンコ(27=ウクライナ)に9センチの大差をつけた。1年1カ月ぶりの2メートル40台の跳躍が期待できる。

 日本勢は今季2メートル30を2試合で跳んでいる衛藤に、日本記録の2メートル33更新を期待したい。

 衛藤は一昨年の北京世界陸上、昨年のリオ五輪は技術的なアプローチで標準記録を破って出場したが、世界で戦うには体作りから取り組み直すべきだと痛感した。リオ五輪後に筋力トレーニングに重点的に取り組んだことで、今季はアベレージを上げることに成功している。

 戸辺は今大会でロンドン世界陸上標準記録の2メートル30に成功すれば、追加代表入りが認められる。

◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する単日、または2日間開催では最高カテゴリーの競技会シリーズ。2010年に発足し、昨年までは年間総合ポイントで各種目のツアーチャンピオンを決定していたが、今年はファイナル大会出場者を決めるクオリファイリング大会として12大会が実施され、16種目ずつを行うファイナル2大会の優勝者がダイヤモンドリーグ・チャンピオンとなる。各クオリファイリング大会の種目別賞金は3万ドル(1位1万ドル~8位1000ドル)で、各種目は年間4または6大会で実施される。各大会のポイント(1位8点~8位1点)合計上位8人(種目によっては12人)がファイナル大会に進出。ファイナル大会の種目別賞金は10万ドル(1位5万ドル~8位2000ドル)で、年間優勝者には賞金5万ドルのほかダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝で行われるため、緊張感あるレースがスピーディーに続く。また、オリンピックや世界陸上のように1種目3人という国毎の出場人数制限がないため、ジャマイカ、アメリカ勢がそろう短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目など、五輪&世界陸上よりレベルが高くなるケースもある。