8月の世界選手権(ロンドン)の男子100メートル代表から漏れた桐生祥秀(21=東洋大)が力強く再起を印象付けた。追い風0・6メートルの10秒05の大会新記録で優勝した。

 4位に終わり、取材を終えると涙した日本選手権から1カ月。桐生に笑顔が戻った。10秒0台は今季4度目。「日本選手権で応援しれくれた人をがっかりさせてしまった。こっちで取り返したかった。ベストタイムではないですが、最低限の走りはできたかな」と表情は明るかった。個人では出場がかなわなかった世界選手権では400メートルリレーに懸ける。メンバー入りへ大きなアピールとなったが「10秒05を出したからと甘えていたら、メンバーにも選ばれないと思う」と頼もしかった。

 明日24日で、東京五輪開幕3年前となる。

 「大きい大会で気持ちが弱いと言われる。でも弱かったら強くすればいい。こんなにボロクソ言われても、3年後見ておけよとの気持ちが大きい」

 悔しさを糧に強くなる。今度こそ主役は譲らない。