東京五輪への門は開かず! 今大会は、20年東京五輪のマラソン代表を決めるグランドチャンピオンシップ(GC)の出場権がかかったレース。しかし、日本人トップで5位でゴールした岩出玲亜(22=ドーム)は、出場権を得られる規定タイム、2時間29分0秒を切れず、2時間31分10秒だった。

 出場権を得た日本選手はいなかった。優勝は2時間28分39秒(同)でダニエル(ケニア)。一般男子フルマラソンでは川内優輝(埼玉県庁)が2時間15分54秒で優勝した。

 岩出は、5キロ17分台後半の遅めのペースに「私はスローペースはダメ。出ようと思った」と、自らレースを引っ張った。レース前には、昨年優勝で、8月の世界選手権4位のダニエルが「前半を72分で行くと言っていた」と聞いていた。マークしようと思っていたが、意外な遅い展開に「裏切られた!(笑)」と、岩出自らが積極的に前に出た。

 しかし、結果的には、それが裏目に出た。夏に米アルバカーキで高地トレーニングを積んだため、心肺機能は問題なかった。アップダウンが始まる「25キロまでは気持ちよく行けた」。ただ、行きも帰りも向かいの強風。25キロ以降、「足が思うように動かなくなった」と、ダニエルら3選手に30キロ過ぎで置いていかれた。

 それでも「25キロぐらいまで1人で押して行けた。なかなか、そういう経験はできない」と、十分に手応えはつかんだ。当時、10代日本最高記録を出した初マラソンの14年横浜国際、2時間24分38秒の自己ベストを出した16年名古屋ともに「コースはフラットで、(集団の中で)ひたすら我慢するレースだった」。しかし、今回は自ら仕掛けてレースをつくったことで「タフなコースに強風の中、大きな自信につながった」と前を向いていた。