8月に引退した陸上短距離世界最速の男・ウサイン・ボルト氏(31=ジャマイカ)が来日し14日、都内で行われたフランスのシャンパンメーカー「メゾン マム」の新商品「マム グラン コルドン」プレスカンファレンスに登場。日本人初の100メートル9秒台となる9秒98をマークした、桐生祥秀(21=東洋大)をたたえた。

 ボルト氏はイベントの中で桐生について聞かれ、桐生が9秒台を出した9月9日の日本学生対抗選手権を見たと明らかにした。「私もレースは拝見したんですけど、日本人選手はそのうち、10秒台の壁は超えるだろうということは予見していた。実際に、徐々に近づいていく様も見ていた。桐生選手の今回の快挙は、うれしく思っているし、大切な記録、すばらしい勝利だったと思う」と絶賛した。

 実は、桐生が記録を出す4日前に京都市内で行われたイベントで「(日本人選手は)コンスタントに10秒0台を出せる。10秒を切る可能性は十分にある」と“予言”していた。そのことに話を向けられると「はははは。私はまさに、非常にハードな練習をし、なされている努力をしているのを見た上で、あのような予言をしたわけです。より良くなろうとする努力、私のモットーである『全ては可能であり、限界を考えるな』を体現していた」と、人の見えないところで真摯(しんし)に努力していた桐生の姿勢は、自らの勝者の精神に通じていると強調した。

 2020年東京五輪について聞かれると「このシャンパンのボトルを空けて応援したい。間違いなく1本は開会式に空けて母国のチームメートとお祝いしたい。日本の皆さんのためにも空けて応援したい」と大会のバックアップを約束した。

 ボルト氏は、まだ現役だった昨年11月に、1827年(文政10)創業のフランス最大のシャンパンメーカー「メゾン マム」のチーフ・エンターテイメント・オフィサー(CEO)に就任。シャンパンを空けたい瞬間について聞かれると「勝利した時、シャンパンのボトルを空けるのは、うれしいです。ガールフレンドとくつろいだり、友達と楽しんでいる時に空けたいね」と笑みを浮かべた。

 そして日本のファンに向けて「努力して前進して、自分が目指すことにフォーカスすれば、次のビクトリーにつながる」とメッセージを送った。【村上幸将】