2020年東京オリンピック(五輪)のマラソンが、早朝5時台のスタートとなる可能性が出てきた。これまでは午前7時とされていたが、今夏の猛暑を受けて見直しの必要性が浮上。自民党が21日、検討していたサマータイム導入を断念したことで、開始時間の前倒しが現実的になった。大会組織委員会の武藤敏郎事務総長(75)は同日、午前5時30分、同6時スタートなどの案があることを明かし、早急に対策を講じることを口にした。

<過去の猛暑マラソン>

◆91年世界選手権東京大会 女子は8月25日午前7時スタート。当時の世界記録保持者クリスチャンセン、ソウル五輪銀メダルのマーチンらが暑さで出場を辞退した。レースは38人中14人が棄権し、山下佐知子が銀メダル。男子は9月1日午前6時スタート。60人中、エース中山竹通ら24人が棄権。谷口浩美が優勝し、銀メダルのサラは「アフリカ砂漠よりひどかった」。

◆95年ユニバーシアード福岡大会 9月3日午前7時の男女同時スタート。すでに気温28・5度、湿度86%の悪条件だった。男子は20人中9人、女子は10人中3人がリタイアした。女子のトップを走っていた鯉川なつえが、39キロ付近で意識を失い、病院に運び込まれただけでなく、完走した選手も次々と担架で医務室に担ぎ込まれた。

◆07年世界選手権大阪大会 男子は8月25日、女子は9月2日でともに午前7時スタート。男女とも優勝タイムは男子のキベトの2時間15分59秒に続き、女子のヌデレバも2時間30分37秒で世界選手権歴代ワーストだった。男子はゴール時の気温が33度と世界選手権史上最高を更新。ただ、仮に6時号砲ならば、ゴール時は約29度だった。