日本歴代8位の2時間7分27秒で福岡国際マラソンを制した服部勇馬(25=トヨタ自動車)は快走から一夜明けても実感はないようだった。

3日、福岡市内のホテルで「気持ちは昨日と変わらず、あまり実感はなく、優勝したのに他の人が優勝したみたい」と振り返った。朝は練習せず、半身浴で疲労回復に努めたという。

日本人では14年ぶりとなる優勝。携帯電話には祝福のメッセージなどが約150通、届いたという。「箱根駅伝など大学駅伝を走り終わった後より、多くの連絡が来た。1人1人返せてないですけど」と反響に驚いた。東洋大時代の恩師である酒井俊幸監督(42)からは2年連続2区区間賞を取った箱根駅伝でも褒められなかったそうだが、前日の快走後は「肩甲骨の動きがしなやかになった。最後まで走り切れたのは成長しているね」と褒められたという。同大の先輩で前日本記録保持者の設楽悠太(26=ホンダ)からも一言「お前強いな」と言われたという。服部は「やってきたことは間違いなかった」と笑顔だった。

1キロで1秒をけずり出す。その作業を繰り返し先に、2時間5分50秒の日本記録更新があると捉える。現状の力は1キロを3分ペースは「余裕を持って進められる」。それを「1キロ2分58秒、2分59に持って行けるか。体の動きと心のゆとりを持ちながら、1秒、1秒をけずっていければ、2時間5分、6分は見えてくる。まだ日本記録とは1分半の開きがある。全体で見るのではなく、1キロのラップタイムで見た方がタイムの短縮は近い」。そう成長の道筋を口にした。

次のマラソンは20年東京オリンピック(五輪)の代表選考会「マラソン・グランドチャンピオンシップ」(19年9月)となる予定。発汗量は多い体質だが「暑さが苦手だとは思っていない。対策を持って、課題を克服していければ問題ない」と話す。暑い部屋の中で走り、汗の成分を分析するなどの対策も定期的に行っている。「他の人よりナトリウムが多く出ている」のだという。強くなるために必要な能力の分析にもたける。MGCは「終盤まで残ることはそこまで難しくない。ただ勝ちきるには仕掛けるタイミングなどまだまだ力不足」と話した。MGCのコースは37キロ以降に上り坂がある。「万全の対策で臨みたい」と語った。