今田麻里絵(28=岩谷産業)が2時間29分35秒で日本人トップとなる4位となった。

20年東京オリンピック(五輪)の代表選考レース「マラソン・グランドチャンピオンシップ(MGC)」の出場権には35秒届かず、会見では「悔しい気持ちが押し寄せてきています。泥くさい練習をやっていかないといけない」と語った。ただ自己記録は2分25秒も更新した。

10月の全日本実業団対抗女子駅伝予選会(福岡)。2区だった飯田怜(19)が中継所の約200メートル手前で走れなくなり、四つんばいになって前に進んだ。その時、中継所で待ちながら、涙でたすきを受け取ったのが今田だった。

当時の心境を「パニックだった。止めに行った方がいいのかな。でも勝手なことはできないし…」と振り返る。たすきを受けた後は、何も考えられず、泣きながら走った。「止めに入っていた方がよかったのかな」との後悔もあったという。「外に出たくない。後ろ指を指されているんじゃないか」と思った。その後、2日間は何も身が入らなかった。

思わぬ形で注目を集める中で葛藤もあった。ただ今回の出場を決めた。「こんなところでつまずいていても意味がない。次の大会では注目される。しっかり走らないと飯田にも、岩谷産業にも悪い」と心に決めた。

MGCには届かなかったが、17年世界選手権代表の清田にも先着。携帯電話には祝福のラインがたくさん届いた。その中にリハビリに励む飯田からのメッセージもあった。「すごく感動しました。自分もこれからもっと頑張ろうと思いました」との内容だった。

自身もけがに苦しみ、1度は競技を離れた。だから故障の苦しみはよく分かる。今田は「自分の走りを見て、また頑張ろうと思ってくれたのが一番うれしい。飯田だけでなく、どれだけ感動を与えられるかも仕事」と笑顔を見せた。

けがで1度は競技を辞めながら、マラソンへの思いを捨てきれず、岩谷産業に直談判して入った。そのマラソンで大きな成長を跡を残した。