高校駅伝の強豪校などで、貧血治療用の鉄剤注射を競技力向上のために取り入れる行為が続いている懸念がある問題を受けて日本陸連は20日、都内で、中体連、高体連などを含めた協議会を行った。

協議会後の会見に出席した陸連の尾県貢専務理事は「鉄剤注射の根絶について、強い同意を得られた」と報告し、「治療としての鉄剤注射も原則禁止にしたい考えがある」との方針を示した。

陸連医事委員会の山沢文裕委員長は「消化管の疾患や輸血など、医学的適応がある場合や特別な理由がある場合は禁止にはできない。ただ、監督の依頼で注射を打っていた医師もいたのではないか」と指摘。「選手や監督の希望による注射は原則禁止」と説明した。

陸連は今後の対策として、(1)高校駅伝の監督会議で、次の大会から血液検査の結果報告書の提出を依頼し、鉄剤注射をした場合はチームごとに理由を明記する申告書の提出を求める、(2)医事的な情報を盛り込んだガイドラインの策定、(3)指導者の資質、能力向上のための啓発教育を挙げた。

山沢医事委員長は鉄剤注射が選手の体に与える影響について、「鉄欠乏状態で鉄剤注射を行うことで、血液中のリンも減ることになり、骨も弱くなり疲労骨折がしやすくなる。選手生命が短くなる悪いサイクルになっている」と厳しく指摘した。