「公務員ランナー」で知られる川内優輝(31)が、2月24日開催の静岡マラソン2019に初出場することが、9日までに正式決定した。川内は3月末で埼玉県庁を退職。4月からのプロ転向を前に、17年にギザエ・マイケル(24=ケニア)がマークした大会記録(2時11分40秒)の更新と優勝を目指す。

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あの川内が、静岡にやってくる。主催の静岡朝日テレビ選手招致担当者によると、「3年越しのラブコールに応えていただきました」。翌週3月3日開催の東京マラソンではなく、静岡マラソン出場を決めたのは、文字通り、川内のおとこ気だ。

「過去にもオファーをいただいていましたし、何度も競り合ったことのあるギザエ・マイケル選手が、大会記録を持っているので、興味のある大会でした」

川内は、学習院大卒業後は陸上部のない埼玉県庁に就職。出場するハーフマラソン、フルマラソンを練習機会ととらえ、記録を伸ばしてきた。自己最高は2時間8分14秒(13年ソウル国際)で、11、13、17年の世界陸上選手権に出場。昨年4月開催のボストンマラソンでは、日本勢として瀬古利彦以来31年ぶりの優勝を飾った。また、マラソンを2時間20分以内で完走した「78回」が、ギネス世界記録に認定。同記録は現在、84回に更新されている。

この実力から期待されるのは、大会記録の更新で、本人もその気だ。昨年大会優勝の坂本智史(32)とは、箱根駅伝の関東学連選抜でチームメートだったことで、ライバル心もある。

「(坂本から)『静岡マラソンは走りやすいコースで良い大会だ』と聞いていました。スズキ浜松ACの有力選手や学生選手も参加すると聞いていますし、競り合うことで、大会記録を更新して優勝できるように頑張りたいです」

川内は4月からプロになり、ボストンマラソンで2連覇を狙う。今大会が、「公務員ランナー」として最後の42・195キロになる可能性もあるという。注目度が高まる中、川内が静岡からニュースを発信する。【柳田通斉】

 

〇…川内が、静岡県内の大会に出場するのは、12年、14年、16年の焼津みなとマラソン以来になる。弟鮮輝(28)を強化するために、一般エントリーで参加していた。だが、観光する時間はなかったといい、今回は「徳川家康の本拠地として有名な駿府城や久能山東照宮も見学してみたいです。そう思ったことも、エントリーを決めた理由です」と話している。また、川内の母美加さん(54)も、ファンラン(11・6キロ)にエントリーしており、親子での市内観光になるかもしれない。

◆川内優輝(かわうち・ゆうき)1987年(昭62)3月5日、東京・世田谷区生まれ。学習院大時代に関東学連選抜として、箱根駅伝に2度出場。14年仁川アジア大会銅メダル。世界選手権は11年大邱大会18位、13年モスクワ大会18位、17年ロンドン大会9位。「試合前日はカレーを食べる」がルーティン。175センチ、62キロ。