実業団駅伝の強豪である日清食品グループは11日、今年1月以降、駅伝から撤退すると発表した。佐藤悠基(32)と村沢明伸(27)を除く12人の部員には社業に専念するか、移籍をすすめる。山梨学院大4年の永戸聖主将ら今春の入社が内定していた選手も内定取り消しとなった。

山梨学院大の上田誠仁監督(60)によると、うわさは耳にしていたというが、突然の連絡だったという。選手思いの指揮官は11日、「選手は人生を懸けているわけですから。東京オリンピック(五輪)へ強化選手を絞ってやるならば、1年をかけて発表するなど手順もあったのではないか」と予想外の展開に、教え子たちの進路を案じた。

今年の箱根駅伝で2区を走った実力を持つ永戸の元には複数の実業団からの誘いが届いていた。上田監督は日清食品グループ側へ1度内定を断った企業を説得してもらうように求めているという。箱根駅伝を終え、卒業まで十分な時間もない中で、永戸は急な就職活動を強いられた格好だ。

上田監督は「企業スポーツのあり方はいろいろある」と言い、社内高揚、PR活動など対価に合わなければ、消滅するのは仕方ないと理解も示す。ただ山梨学院大OBでもある高瀬無量らには家族もいる。選手の生活環境を急に変える形になったことには、疑問を呈す。

今後は日清食品グループと「共同作業」で新たな所属先を探す。「もう決まってしまったこと。次にどうするか。手を打たないといけない」と上田監督。選手ファーストで最善策を見つける。